根室交通(岡野将光社長、根室市)、くしろバス(深谷晋也社長、釧路市)、ヤマト運輸(阿波誠一社長、東京都中央区)は6月2日から、根室交通とくしろバスが根室〜釧路間(釧路線)で共同運行する都市間バス「ねむろ号」を活用して、ヤマト運輸の宅急便を輸送する客貨混載の本格運行を開始した。対象路線は、「ねむろ号」くしろバス本社午後0時40分発〜根室交通有磯営業所午後4時着の平日便。
釧路線は利用客の減少により路線存続が困難となっていたが、道庁や根室市などからの支援と運行本数の減便によって運行を継続していた。ヤマト運輸は、道内で138か所の拠点を持ち、道内全エリアに物流サービスを提供しているが、過疎化などにより物流ネットワークの維持が課題となっていた。4月1日から、「ねむろ号」を活用した客貨混載の実証運行を実施、実用性や安全性を確認し、本格スタートとなった。過疎地域での交通・物流インフラの維持が課題となるなか、各社の経営資源を活用することで、持続可能な地域社会への貢献を目指す。

ヤマト運輸釧路西営業所に到着した厚岸町行きの荷物を、ヤマト運輸のセールスドライバーがくしろバス本社まで輸送し、ねむろ号のトランクルームに荷物を積み込み、根室交通のドライバーが厚岸町まで輸送する。ヤマト運輸厚岸営業所と、ねむろ号の停留所「茶内」(浜中町)でヤマト運輸のセールスドライバーに荷物を引き渡す。バスの運行ルートに近いヤマト運輸の営業所にバスが立ち寄るため、セールスドライバーとの時間調整が不要で、バスの運行ダイヤへの影響も抑制できる。また、バスの大容量トランクルームを貸切利用するため、複数種類(常温・冷蔵・冷凍・お買い物便)のコンテナを効率的に積載することが可能となる。
根室市総合政策室 交通政策主幹の前田 純志氏は「釧路線は、根室市民の通院などの観点からも重要な交通インフラ。存続に向けた客貨混載の本格運行は路線の付加価値を生み出すため官民が連携して取り組んできた成果」とコメント。
根室交通業務部長の松永美佐氏は「この客貨混載で、地域の足と物流がつながり他業種間で交通・物流を支えられることを期待している」とし、ヤマト運輸道東主管支店長の齊藤公平氏は「根室市から、市民のインフラとなっているバスの運行継続に課題があるとの話を受け、当社として持続可能な運行に向けて、客貨混載の運用を開始した。今後も市民の皆さまの豊かな社会の実現に貢献していく」とコメントした。