北海道運輸局は7月21日、札幌第二合同庁舎で「トラックGメンに対する辞令交付式」を開催した。井上健二運輸局長が代表4人に対し、辞令を手渡した。
「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」において6月に取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」に基づき、「適正な取引を阻害する疑いのある荷主企業・元請事業者の監視を強化」するために創設した。長時間の荷待ち時間や運賃・料金などについて運送事業者等へのヒアリングを行い、これら調査結果を貨物自動車運送事業法に基づく荷主企業・元請事業者への「働きかけ」「要請」等に活用する。
道内では既定定員8人に加え、新たに9人を緊急に増員し、合計17人の体制で業務を遂行する。規定定員8人は、もともと行っている業務と兼務し、新規採用の9人はトラックGメン専業で業務にあたる。
井上局長は「荷主や元請けに起因するドライバーの長時間の荷待ちや、運賃・料金の不当な据え置き等が依然として十分に解消されていないことから、情報収集の力を強化し、持続可能な物流・取引環境の適正化に向けて執行力を強化する。トラックGメン各位の奮闘に期待する」と訓示を述べた。
中山俊彰自動車交通部長は「北海道は面積が広大で、都市間距離が遠く、高速道路の整備状況も遅れ、また、本州と道路でつながっていない。このため1運行におけるドライバーの拘束時間が長くなる構造的な問題がある。物流の2024年問題は一過性の課題ではないため、トラックGメンの活動により、ドライバーの労働条件の改善に向けて、荷主への理解をより深めていきたい」と話した。
また、「月間や年度内のヒアリング件数の目標は特に設定していない。当面は適正化実施機関をはじめとした関係機関や各種講習・研修となどの機会を通じて、トラックGメンの周知をしていく。年度途中でのこれだけの増員は異例のこと。収集した情報の事実確認や、荷主への理解を深めていく活動を積極的に進めたい」と述べた。
トラックGメンに任命された砂田弘一貨物課長は「気が引き締まる思い。トラックドライバーの長時間労働で賃金水準が低く、担い手不足が深刻化している。働きやすい業界となるよう活動していきたい」と抱負を述べた。