総務省は3月8日、「ICT(情報通信技術)地域活性化大賞2019」の受賞案件を発表、大賞にあたる総務大臣賞に新篠津村で実施された「IoTを活用した農山漁村の灯油難民防止」の取り組みを選定した。
石狩振興局、新篠津村、JA新しのつ、ゼロスペック、京セラコミュニケーションシステム、さくらインターネットの6者が実施主体となり、低コストなスマートセンサー・通信サービスを 使用する「IoT技術」を活用し、「タンクの灯油残量を毎日測定・可視化」することで、「配送システムの効率化や労働負担の軽減」の可能性を検証したもの。
同実証実験は平成29年12月~同30年5月まで154日間にわたり実施、対象地区155戸のうち83戸(約54%)の家庭に延べ97センサーを設置した。
実験の結果、「必要なタンクに必要なタイミングで配送」するという最適化を行うことで、「給油回数の約20%削減」「配送日数の約36%削減」が可能と試算できた。
また、通信成功率(正確に灯油残量を計測できる確率)は99.7%で、「厳寒・豪雪においても、十分実用に耐えうる水準」であることが確認できた。
これにより、「灯油配送業務の効率化・採算性の改善で、過疎地域でも将来に渡って事業継続が可能」であり、「灯油の安定供給確保の懸念(将来的な灯油難民発生の懸念)が解消できた」としている。
加えて、「配送自体を減らし、ハードな冬季配送業務の労働者負担の軽減につながる」「灯油残量の可視化により、災害時等には優先順位を付けた灯油配送が可能となり、万全なライフライン確保につながる」といった点も確認できたとし、この実験結果を過疎化等に悩む他の自治体の検討材料としてもらう。
同大賞は、地域が抱える様々な課題(人口減少、少子高齢化、地域経済の衰退等)を解決するため、自律的な創意工夫に基づくICT利活用事例を広く募集・表彰し、様々な施策を通じて全国各地域への普及を図るもの。
今回は候補案件の募集を同30年10月15日〜同31年1月15日まで行い、115件の応募があった。