北海道物流開発「道の駅を活用した地域連携物流システム」構想

「北海道」北海道物流開発(札幌市西区)の斉藤博之会長は、「道の駅を活用した地域連携物流システム」を道内で構築するよう長年主張しており、昨年7月に北洋銀行と共同で提言をまとめた。今後、名寄市を中心とした道北地域での運用に向けて働きかけを進めるとともに、この仕組みを全道各地に広げ、道内の物流効率化と経済活性化につなげていきたい考えだ。
 

 北海道では、地方から消費地までのロットの小さい食品などにかかる物流サービスは、様々な物流事業者が個別に集荷先を訪問し、それぞれのセンターで保管・仕分をし、幹線輸送をかけた後、地域で配送するという行程が一般的だった。その際、集荷や配送の時間指定ができ、「ドアtoドア」で行うきめ細かい物流サービスは、少量の商品を遠隔地に運ぶ環境では非効率で割高になっていた。
 同会長は、宅配便に代表されるこのようなフルサービスを「タクシー型」物流システムと呼ぶ一方で、地域内に予め集荷拠点を配置し、そこに商品を集めてロットを大きくした後、幹線を共同配送で定時運行させる物流システムの有効性を説き、集荷拠点をバスの停留所に見立てて、これを「路線バス型」物流システムと呼ぶ。
 

 道内の主要道路に面している120カ所あまりに及ぶ「道の駅」を路線バスの停留所に見立て、共同集荷、保管・仕分から幹線輸送まで手掛ける物流システムの構想を7年あまり前に固めた同会長は、これまで道内各所でこの運用を訴えてきた。道内の行政機関や経済団体などにこの有効性が徐々に浸透し、名寄市の経済界ではこの構想に興味を示し、運用に向けて検討をはじめている。

 同会長は「北海道は、この20年で道央への物流拠点一極集中が進み、地方からの帰り荷が非常に薄くなった。地方で発生する小ロットの貨物を道の駅に一旦集め、中ロットに仕立てることで、安価かつ持続的な物流の仕組みが実現できる」とし、「効率よくモノを運ぶことについて道内の地域の方々が自ら考え始める時期にきている。路線バス型の物流システムは、利用者にとって自由な時間に輸送できないというデメリットがあるが、不便さの一方で安価な価格設定という大きなメリットの可能性がある。地域の関係者と協力し、この物流システムで北海道を活気づける手伝いをしていきたい」と話す。
 また、人口減少と過疎化が進む北海道に効率的で安価な物流システムが構築できれば、「道産食品をはじめとした様々な製品の付加価値向上にもつながるほか、道内には少ない製造・加工拠点の進出も期待できる。物流を起点として地域経済の活性化を図っていきたい」と強調している。

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