室蘭市で低圧水素配送システム実証事業」本格稼働施設 水素サプライチェーン構築へ

大成建設は1月30日、室蘭市、九州大学、室蘭工業大学、日本製鋼所、巴商会、北弘電社と共同で、環境省が推進する「地域連携・低炭素水素技術実証事業」の一環として、室蘭市に建設した「低圧水素配送システム実証事業」施設の開所式を行い、本格的に稼働したと発表。
「低圧水素配送システム実証事業」は、地域の再生可能エネルギーや未利用エネルギーを利用し、水素の製造から貯蔵・輸送・供給・利用までの水素サプライチェーンを構築し、実証するもので、室蘭市を事業地域として2018年度から2019年度までの2年間行う予定。

大成建設が「全体統括、基本システム設計等」を担い、室蘭市が「実証フィールド提供、風力発電電力供給」、九州大学が「事業サポート、水素製造所低コスト化検証等」、室蘭工業大学が「水素輸送・移送時性能評価、効率向上検討等」、日本製鋼所が「車載型および定置型タンク設計・製造等」、巴商会が「水素製造・利用設備の設計施工、運転管理等」、北弘電社が「水素製造所・利用場所の電気等設計施工等」をそれぞれ担当する。

同施設の開所式が同日、室蘭市内のホテルで開催され、事業主である環境省、実証事業者と共にテープカットが行われた。その後、水素製造施設および利用施設の見学会が実施され、施設概要の説明や稼働状況などの公開が行われた。

水素サプライチェーンの主な流れは下記の通り。
【製造】:室蘭市所有の祝津風力発電所で発電された電気を用いて、水素製造所に設置された水電解装置を使って水素を製造
【貯蔵】:車載型コンテナに内蔵された水素吸蔵合金タンクに直接貯蔵
【輸送】:水素を貯蔵したタンクをコンテナごと水素運搬車(2t)に搭載し、約10km走行して民間の温浴施設まで輸送
【供給】:車載型水素吸蔵合金タンクから温浴施設に設置された定置型水素吸蔵合金タンクと燃料電池に水素を供給
【利用】:燃料電池で発生する電気と温水を温浴施設で利用
水素吸蔵合金の水素の吸放出に必要な熱は温浴施設の未利用低温排熱を利用

実証事業者は「今後、本施設の運用により低炭素水素を本格的に利用するための課題を抽出し、地域分散型水素エネルギー社会の実現を積極的に推進していく」としている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする