スマートモビリティチャレンジ北海道シンポジウム 自動運転バスによる貨客混載の取り組み事例など報告

経産省と国交省は11月14日、札幌コンベンションセンターで「スマートモビリティチャレンジ北海道シンポジウム」を開催、社会実装に向けて道内各地で進んでいる自動運転やMaaS等の取り組み事例が報告された。
両省は今年度より、新しいモビリティサービスの社会実装を通じた移動課題の解決や地域活性化に挑戦する地域・企業を応援する「スマートモビリティチャレンジ」を開始しており、この事業の一環として開催したもの。

上士幌町企画財政課の梶達主幹は「上士幌町MaaSプロジェクトについて」と題し、今年10月に同町で行った「自動運転バスによる公道での貨客混載の実証実験」の結果を報告。「『重い商品でも届けてもらえる』ということで好評だった。得られたノウハウを住民サービスの充実に転用していきたい。自動運転車両に限らず、有人のスクールバスと配送サービスを組み合わせた貨客混載など、色々なケースが考えられる。地元スーパーでも、商品配送の取り組みを住民サービスの一環として、人と車を用意して赤字覚悟で行っているが、このような事業がスタートすれば、スーパーの負担も減る。他の商店の商品も積み合わせることができれば、運用コストも抑えられる」と述べた。
また、「自動運転車両による商用化に向けた社会実装は、収益的にはまだ相当難しいと捉えている。導入するならば、バスの車体にプロジェクションマッピングを投影するなど、バスに乗ること自体で人を集められるコンテンツに仕立てる必要がある」との見解を示し、「仏リヨンやシンガポールでは無人走行バスが既に社会実装されており、住民は意識せずに普通に生活している。このような状況がそのうち訪れると考えている」と話した。

未来シェア(函館市)の中島秀之会長は、同社が展開している「公共交通サービスのクラウド化」のためのシステムを紹介。一定の都市内の公共交通車両を集中制御し、システムが最適な交通手段をリアルタイムで選択するもので、全国で実験が進んでいると説明。
「この技術は人だけではなく、モノでの活用も可能。近くゴミ収集や除排雪の最適化に応用していく予定。将来的にはこのシステムをプラットフォームとし、観光、宿泊、食事、医療、物流などのサービスの提供が最適化できるようになる」と述べた。

このほか、WILLERの村瀨茂高社長、十勝バスの長沢敏彦取締役執行役員事業本部長、北海道経済部産業振興局産業振興課の佐藤秀行課長がそれぞれ講演した。

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