安倍晋三首相が4月7日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく初の「緊急事態宣言」を7都府県に対して発令した。
北海道は、爆発的な感染拡大と医療崩壊を防ぐため、2月28日に法的根拠に基づかない「緊急事態宣言」を全国で初めて独自に発令、外出自粛や集会等の自粛を呼び掛け、行動スタイルの変容を訴えた。同宣言は当初の予定通り3月19日に一旦終了し、翌日からは「感染拡大防止の取組を行いつつ、社会経済活動を行う北海道モデルの確立」に取り組むとして、新型コロナウイルス感染症の危機克服に向け道民や事業者一丸となって戦っていく「新たなステージ」に移行したとした。
北海道の緊急事態宣言は後に政府の専門家会議により「一定の効果があった」と評価されたものの、その後、札幌市を中心に感染者が増えてきたことから、北海道と札幌市では、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための「緊急共同宣言」を4月12日に取りまとめた。
内容は「札幌市内における接触機会の低減」「繁華街の接客を伴う飲食店等への外出自粛」「緊急事態宣言地域との往来自粛」「学校及び公共施設の休業・休館」「医療提供体制の充実・強化」「道内経済への支援強化」の6点で、新型コロナによる道内への経済的な影響は未だに見通しがきかない状況だ。
このような中、道内の運送事業者からは「今年は引越しのキャンセルが例年になく多かった」、「外食産業向けの物流が大きく減少している」といった声が一部から聞かれるものの、全般的には「需要激減といった状況にはなく、大きく困っていない」というところが意外に多い。
北洋銀行が4月6日に発表した「道内企業の経営動向調査」によると、「当面する問題点」として、「売上不振」のと回答した業種が増え、「食料品製造」「木材・木製品製造」「その他製造業」「卸売業」「ホテル・旅館業」は、この項目の比率が最も高かった。一方、運輸業は「売上不振」を当面の問題と回答したのは17%にとどまり、全業種の中で、最も比率が低かった。
多くの業種が売上不振に直面する中、運送業界ではコロナ後を見据える事業者もいる。
札幌市の事業者は、「コロナ禍の最中でも、物流は止まることなく物資の供給を続けて社会生活を守っており、物流の重要性がより一層認識されたと感じている。コロナが一定程度、収束した後、物流の役目はどのようなものか。疲弊している企業が多いので、求められることははっきりしている。それは、『より効率的で、より安価な物流』だ」と述べ、「その時に多くの荷主に提案できるよう、『これまで積み合わせが一般的ではなかった商材の共同配送』の仕組みづくりなどを進め、安価で持続的な物流サービスを提供していきたい」と話している。