萠運輸 カンボジアで「カシューナッツ事業」開始

萠運輸(近澤洋太社長、苫小牧市)は、カンボジアでリサイクルショップを構えて事業を始めてから4年あまりが経過、今後、新たにカンボジア産「カシューナッツ」の生産・加工・販売事業を本格的に始める。

同社はカンボジアに現地法人「モエトランスポートカンパニーホッカイドウ」を設立し、首都プノンペンの近くでリサイクルショップ「しろいとり」を運営。
苫小牧市や札幌市近郊を中心に不用な家具や衣服、玩具などを調達し、毎月40ftコンテナ2本程度を輸出、現地ショップで販売している。
ショップは今年に入り2店舗目を開店、3店舗目の物件も探している。7月からはフィリピンへの輸出も始めるなどリサイクル事業が好調に推移している。「引き取った品物の出口がはっきりしている安心感」から、「引越しの依頼が増え、単価も上がる」など、本業にも好影響が出ている。

今後は「カシューナッツ事業」を本格的に展開する。
偶然視察した畑にカシューナッツがなっていたことから関心を持ち、市場調査を実施。
近澤社長は、「カンボジアのカシューナッツは多くが安く買われ、ベトナム産として流通されている。日本式の農業を導入し、完全オーガニック栽培の高品質・高価格のナッツをカンボジア産として世界中に広めたい。カンボジアのナッツがベトナム産として売られている現状を変えたい」と話す。

コンポンチュナン州に16haの畑を購入し、自社で農園の開発から行う。
現地に住む日本人農業コンサルタントの指導を仰ぎ、肥料や殺虫剤などもオーガニックとし、「一切農薬を使用せず、かつ、効率的な生産方法」の確立に取り組む。糞を肥料にするため養鶏も検討、このほか殺虫剤の自前生産も視野に入れている。
また、近隣の農園にこういった生産手法を広め、地域全体の活性化も狙う。

現在は畑を耕し、苗木を植えた段階。ナッツの収穫まで3年程度見込んでおり、それまでは現地の比較的質の高いナッツを調達・輸入し、販売ルートの確立に着手する。最初の輸入は11月28日の予定。

こういった事業展開は全て「物流を軸」に考えている。近澤社長は「生産や販売は軌道に乗ったら、専門の事業者に任せて構わない。当社はこれらの生産・販売・輸入などにかかる物流を請け負うとともに、現地のビジネス環境の向上、雇用の創出、所得の向上などに寄与したい」と話している。

「販売先も日本のみならず、ニーズ次第で世界中どこでもいける。ナッツが上手くいけば、他の果実や香辛料などの生産・販売も手がけたい。現地の人と一緒に夢を見ながら、新しい取り組みを進められるのが楽しみ。今後もカンボジアを中心としたメコン地域で物流を軸とした事業展開を図っていく」と話している。

同社では、ナッツ事業にかかる資金の一部を1月からクラウドファンディングで調達する予定だ。

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