物流センター内や、荷主の庭先・現場などで多く活用されるヘルメット。これら産業用ヘルメットには、業界団体が廃棄・交換の目安を示しているが、物流業界ではあまり意識されていない。
日本ヘルメット工業会では、「PC、ABS、PE等の熱可塑性樹脂製のヘルメット」は、外観に異常が認められなくても3年以内、「FRP等の熱硬化性樹脂製のヘルメット」は同じく5年以内に交換してもらうようユーザーに要請している。
ヘルメットメーカーの営業マンは「これらはあくまで業界団体が出した目安に過ぎず、守らなければならない法的な規制ではない。このため、物流業界ではほとんど意識されることはなく、3年、5年での交換をしっかり行っている事業者は極めて少ない。しかし、建築業界では、この目安に沿った交換をしっかり守ってもらっているところが多数であり、安全に対する意識も高い」と指摘する。
日本ヘルメット工業会では「交換時期、耐用年数は、各社の屋外暴露試験等の結果をふまえて耐用年数を定めた。目安とする理由としては、個々の使用頻度、取扱い状況、保管等が違うためはっきりとした耐用年数を定めることができない。ヘルメット工業会が発行している『保護帽取扱いマニュアル』に使用前の点検実施項目が記されているので一つでも該当する場合は、耐用年数を迎える前に交換するようにお願いする」としている。
同氏は「例えば、ヘルメットを着用した従業員に何かが落下して大怪我などに至った場合、ヘルメットの耐用年数を大きく超えていたとしたら、会社としての安全管理体制が問われる可能性もある。こちらとしては、そういった事態を予防するためにも、物流業界においても耐用年数を超えない時期での交換をお願いしたい」と話している。
実際にフォーク作業を行っている複数の道内の運送事業者に聞くと、「ヘルメットの交換時期は特に意識したことがない」、「(製品によっては)3年で交換などとても考えられない。まわりでもそれほどこまめに交換しているという話は聞いたことがない」「ヘルメットは破損するか、ひどく汚れたらその都度交換する。時期によって交換するということは考えていない」といった反応があった。