道経連は「北海道IoT実装推進ロードマップ」を策定し、6月1日に「IoTによる北海道の課題解決・魅力の向上を目指して」と題した報告書において公表した。
同ロードマップは、総務省が作成している「地域IoT実装推進ロードマップの全体像」に準じたものだが、「北海道にとって重要な分野」であるとして「物流・交通」をこれに追加。北海道の特徴を踏まえて注力すべき6分野(農業、医療、交通、物流、観光、テレワーク)についてIoTのモデルを示し、5年後の2022年度をターゲットとした北海道のあるべき姿を記載した。
物流・交通」における物流最適化の分野では、課題として、①ドライバー不足と働き方改革②本州への輸送手段が限定的で陸送ができないハンディ(コスト増加、輸送の不安定性)③食料品を中心に物流量の季節変動が大きい(平準化が必要)④道央圏への物流機能の一極集中⑤片荷輸送による非効率性(特に冷凍・冷蔵品)⑥鉄道貨物の将来に対する課題(青函問題、将来の赤字路線廃止による影響)ーの6点を挙げ、あるべき姿として「保管機能の拡充や一次産品の加工促進等による物流平準化に向けた取り組み」「ICTを最大限に活用するとともに事業者間の連携等を促進し、限られた人材・機材を最適に配分し、往復の貨物を効率的に輸送する仕組みの構築」「物流機能維持に向けて、業種間連携や協同、役割分担、インフラ老朽化への対応といった取り組み」などを示した。
「現場データのリアルタイムな収集と共有、ネットワークの構築」によって「輸送計画の最適化」「人材不足の解消」が期待されるとし、運送事業者のほか、ICT企業、国、自治体、大学などを主体として、「物流各社が有する資源(人材・機材・中継機能等)、データを共有し、共同配送に向けた取組を加速」「路面情報や荷主のデマンド情報とマッチングするなど、最適な輸送計画の立案支援 (AI活用による配送最適化、雪道などのルート最適化、復荷確保などの配送最適化、積み荷卸しの最適化等)」をIoT活用による物流の効率化のイメージとして示し、2022年度のあるべき姿を「人材、機材、荷物の平準化、最適化で道内物流機能の維持向上とコストの低減が実現」とした。
同報告書では、北海道は、「全国よりも10年早く人口減少が進展し、今後本格的な生産年齢人口の減少による経済の縮小が懸念」され、「面積は日本国土の約22%を占め、その広大さゆえに交通や物流などに様々な課題を抱える」とし、「北海道ならではの課題の解決ならびに更なる魅力の向上を図るためには、IoTの利活用による既存事業の生産性の向上や新たな事業・サービス創出、更には、シェアリングエコノミーの導入などによって地域社会の課題解決につなげていくことが必要」な一方で、「課題が顕在化していることは、IoTなどの先端技術の開発拠点としての北海道の優位性を発揮できるものとも考えられる」とし、「今後、関係機関等とともにロードマップに基づく具体的な取り組みを組成・推進し、北海道がIoT等の利 活用において我が国をリードし、更には世界の先進モデル地域となることを目指していく」としている。