北海道における食料支援のシステム構築に向けた学習会

北海道国際交流センターは7月26日、札幌エルプラザで「北海道における食料支援のシステム構築に向けた学習会」を開催した。全国食支援活動協力会との共催、北海道が協力した。子ども食堂の運営団体や運送事業者、卸売事業者など約20人が参加した。

北海道国際交流センターと全国食支援活動協力会は連携して「食の物流ネットワーク整備プロジェクト」に取り組んでおり、企業等からの寄付食品を一括で子ども食堂などへ分配調整する「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシステム(MOWLS)」の道内への展開を進めている。

MOWLSは現在、25都道府県の団体・行政と連帯し、約1800の食支援活動団体へ食品を提供できるようになっているが、いずれの地域においても「保管と輸配送」が課題。とりわけ北海道では「広大なゆえの物流の難しさ」や「物流コストを理由に道外からの寄贈が行われにくい現状」がある。こういった問題を解決するべく、同学習会では物流に関する課題共有や連携の模索を図った。

全国食支援活動協力会の平野覚治専務は「コロナ禍により、ご飯をしっかりと食べられない一人親世帯が増え、子ども食堂や居場所作り団体の運営者は、自腹を切って食料を配布するケースもある。MOWLSはこういった居場所に集う全ての人が食事を得られる環境をサポートする食糧支援のプログラムで、本州などでは物流事業者の協力により、継続的・効果的に運用できている」と説明。

企業等から食品の供給を受けても、物流コストの面から「北海道への提供は除いてほしい」というケースが多いとし、「他地域との格差が生じている。北海道に持ってきた食料品をどのように配るかが大きな課題。物流事業者に関心を持ってもらわないと、せっかくの食料が北海道の子供たちに行き渡らない。子ども食堂などでは、子どもから金銭を徴収するケースはほとんどなく、金銭的な収益には繋がらないが、保管や輸送面での協力をいただきたい。こういった子どもは10年後には未来を担う人材へと成長する。孤立や孤独の予防、次世代の人づくりへの投資と捉え、社会的な課題解決に協力してほしい。この問題を考えるキックオフの場としたい」と訴えた。

北海道国際交流センターの池田誠専務は「MOWLSの仕組みを北海道に作っていきたい」と述べ、参加者同士による情報交換を促した。
このほか、実際に食料支援を行なっているフードバンクゆめみ〜る(登別市)、北部市場運送(大阪府茨木市)の取り組み事例が紹介された。

学習会では、「食料品配布の支援のために色々なところに話をしたが、配送に一定以上の距離がかかるとなると、テストまで進まないことが多かった。食料品そのものの確保より、北海道ではそれを配る『足の確保』が重要だと認識した」、「保管や発送する拠点が自動倉庫の場合、不定期・不規則な物量を扱うのであれば、システムとして継続的な運用は難しい」、「扱う物量や届け先の数・配送距離などの大体のイメージが予め分かれば、物流側では対応可能かどうかの判断ができる。条件がうまくマッチングすれば、『ボランティアで物流の対応をする』という事業者もあるのではないか」、「片荷輸送の帰り便、とりわけJRコンテナの回送を活用できるのではないか」など、様々な意見が出された。

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