北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する情報連絡会 「貨物鉄道機能確保が妥当」「有識者会議で2025年度まで結論」

北海道新幹線札幌延伸に伴う鉄道物流のあり方に関する情報連絡会の4回目の会議が7月26日、かでる2・7で開催され、国交省(鉄道局・北海道運輸局)、北海道、JR貨物、JR北海道の担当者が参加した。
札幌延伸開業後も引き続き北海道と本州間の安定的な物流を確保していくための方策について、多岐にわたる課題の論点整理を行い、「在来線の維持により、貨物鉄道機能を確保することが妥当」だと確認した。
今年度中にこの問題に関する「有識者会議」を立ち上げ、2025年度中に一定の結論を提示する。有識者会議で取りまとめられた結論をもとに、国や道による最終結論を得る流れ。

会議は非公開で行われ、終了後、ブリーフィングを実施した。国交省鉄道局の山﨑雅生鉄道事業課長、松平健輔貨物鉄道政策室長、北海道総合政策部交通政策局の白戸則幸物流担当局長らが説明を行った。

札幌延伸は2030年度末に予定されており、JR北海道から経営分離される並行在来線の函館線(函館―長万部間)の扱いが長い間、課題となっていた。これが廃止されると、北海道と本州との在来線による鉄道ネットワークが寸断され、現状行われているJR貨物による大量の輸送が出来なくなるが、維持する場合、多額の費用がかかり、この負担を「誰が、どのような理屈で、どの程度担うのか」が大きな課題となっていた。並行在来線が維持される場合、事実上「貨物専用」の路線となる可能性が高く、これは初の事例となる。

会議では、同在来線は「北海道と本州を結ぶ貨物鉄道唯一のルート」であり、年間約400万トンの輸送量があり、北海道経済・日本全国の経済にとっても「極めて重要」との認識を共有。
これを維持する場合、貨物鉄道機能のみを前提とした第三種鉄道事業者が設立された例はない中で、「当該線区を引き継ぐ経営主体(出資者や出資割合)」のあり方に加え、「毎年度かかる数十億円の維持管理費用と将来の大規模修繕費用などの負担の方法・割合」「数百人規模の要員の確保」といった大きな課題があると確認。

また、これを廃止し、現在の貨物鉄道輸送の全量を「船舶」「新幹線」に代替する可能性について検討し、船舶への代替では「新しい航路・船舶」「発着地と港湾を結ぶトラック輸送」「災害・有事への対応」を確保することが難しいとし、新幹線へ代替では「現時点で実証されている大量輸送のシステムが存在せず、実現には一定の時間と財源が必要」とし、事実上、実現が難しいとの認識を確認した。

全体として、「貨物鉄道機能を確保する方向性」が妥当としつつも、関係者間の「複雑な利害調整」が必要なため、最終的な結論を得るには、更なる慎重な検討を行うとし、国交省と北海道が今後、物流事業者・産業団体・沿線自治体など関係者のヒアリングを行うとともに、有識者会議を設置し、そこで2025年度中に結論を取りまとめる。

北海道の白戸則幸物流担当局長は「まだ実務者として論点を整理した段階なので、結論は何も出ていない」とし、国交省の山﨑雅生鉄道事業課長も「国交省、北海道、JR貨物、JR北海道の4者の実務者の間では、貨物線の維持が妥当との認識を今回確認したが、それが決まったものではない。決定したのは、有識者会議を今年度中に設置し、そこで2025年度中に結論を出してもらうということ。負担のあり方、どの範囲までが受益者か、といったことを含め、有識者会議で検討してもらう。その内容を踏まえて、国と道で最終的な結論を出すことになる」と述べた。

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