日本製紙(野沢徹社長、東京都千代田区)は1月23日、勇払バイオマス発電所と八代工場N1バイオマス発電設備で発生する燃焼灰由来肥料の本格的な販売を開始すると発表した。農水省が運営する「国内肥料資源マッチングサイト」を活用し、肥料製造会社や肥料利用者へのサンプルワークを進めていく。
同社は2018年から試験的に八代工場のバイオマス灰の一部を特殊肥料として販売し、その結果が良好であったことから、2023年7月に年間300㌧のバイオマス灰の全量を肥料化できる供給体制を確立した。同10月に、勇払のバイオマス灰について「肥料の品質の確保等に関する法律(肥料法)」における副産肥料としての登録を受けて年間5000㌧の供給体制を確立、八代・勇払合計で5300㌧の供給体制を基盤として本格的に販売を開始するもの。
木質チップ等を燃料とするバイオマス灰は、カリウム等の肥料成分が含まれていることが知られており、日本は肥料成分の多くを輸入に依存していることから、安定供給できる国産資源として肥料原料への利用が期待されている。同社は紙の生産で培った自家発電の操業ノウハウと木質チップの集荷ネットワークを活用し、国産資源であるバイオマス灰の有効活用で肥料原料の安定供給に貢献していくとしている。
特に、勇払バイオマス発電所は、同社と双日が共同で設立し、2023年2月から営業運転を開始した国内最大級のバイオマス専焼の発電所で、燃料として海外から調達する木質チップとPKS(パームヤシ殻)のほか、北海道内で発生する林地残材等の未利用木材を常時集荷しているため、肥料を安定的に大量に供給することができる。また八代工場N1バイオマス発電設備は2015年6月から営業運転を開始した設備で、国産の間伐材由来等の木質バイオマスチップ100%を燃料としている。
同社では、CO2排出量低減につながる木質バイオマスのエネルギー分野への活用を進め、事業拡大を図るとともに、木から生まれたバイオマス灰を肥料として自然に還し活用することで、資源の有効活用を一層進め持続可能な循環型社会の形成に貢献するとしている。