エア・ウォーター 家畜ふん尿由来の「バイオメタン」のサプライチェーン確立

エア・ウォーター(大阪市中央区)は5月10日、LNG(液化天然ガス)の代替燃料となる家畜ふん尿由来の「バイオメタン」の製造から販売に至るサプライチェーンを確立し、同日より、よつ葉乳業十勝主管工場へ納入を開始したと発表。

環境省の実証事業により、家畜ふん尿由来のバイオガスに含まれるメタン分を分離・液化し、LNGの代替燃料として脱炭素を推進する顧客へ供給する、一連のサプライチェーンモデルの構築と実証を十勝地方で進めてきた。同実証事業を通じて、原料の捕集・輸送体制や製造プロセスの確立、品質実証などを実施。実証事業が終了した今年度より、商用化することとした。家畜ふん尿由来のバイオメタンを新たなエネルギー製品として製造・販売する取り組みは、国内唯一の事例。

一般的なLNGの90%程度の熱量を有し、LNGの代替燃料として使用可能。LNGとの混焼も可能で、既存のLNG供給システムを活用できる。LNG代替として消費された場合、CO2排出削減量はサプライチェーン全体で約60%以上を想定。これまで、工場燃料のほか、車両燃料、船舶燃料、ロケット燃料、一般家庭燃料(都市ガスに混合)などへ供給し、品質実証が済んでいる。メタンは液化することにより容積を600分の1に圧縮できるため、一度に大量のメタンを輸送することが可能となり、LNGタンクローリーにて供給する。

販売を開始するバイオメタンは、酪農家が飼育する乳牛のふん尿由来のバイオガスが原料となるため、酪農が盛んな地域においてはカーボンニュートラルかつ持続可能な国産エネルギーとなる。また、家畜ふん尿を廃棄物ではなく未利用のバイオ資源と捉え、新しいエネルギーを創出することで、家畜ふん尿に起因する臭気や水質汚染などの社会課題の解決にも貢献する。

今後、同社は、バイオメタンを活用したい需要家とふん尿を有効活用したい供給元の双方のニーズを安定的に満たすことができるよう、地域社会と連携しながら原料調達を進め、バイオメタンの供給量を増やすとともに、普及活動や市場創出を図ることで、新たなビジネスモデルの確立を進めていくとしている。

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