清水建設(井上和幸社長、東京都中央区)は8月9日、大型の陸上風車の受注力強化を目的に開発した国内最大の移動式タワークレーン「S-Movable Towercrane(SMTC)」を豊富町で施工中の「芦川ウインドファーム南側区画」に適用したと発表。SMTCは、大型陸上風車の受注をターゲットに開発した移動式タワークレーンで、最大揚程152m、定格荷重145tと国内最高の揚重性能を備えている。
今回は実証施工が目的で、2基の風車施工を通じ、実際の風車建設サイトにおいてスムーズなクレーンの組み立て・解体、風車部材の揚重・建方ができることを確認する。
芦川ウインドファーム南側区画は、4・3MW風車15基から構成、ユーラスエナジーホールディングスが道北の宗谷地域で計画中の国内最大の風力発電プロジェクトの一部に位置付けられている。発注者は道北風力で、清水建設の設計施工により2020年4月に着工、竣工は2025年春の予定。
施工中の風車の規模は、支柱の高さ 82・9m、部材の総重量 358・3t、ローターの重量90・9t、設置高85m、ブレード長60m、ブレードの最高到達点145m。
SMTCは、7月5日に稼働を開始、1基目の風車施工では、部材の荷下ろしから支柱の建て方、ブレードとローターの地組(地上での事前組み立て)、ブレードをセットしたローターの揚重・組み立てに至る一連の作業を4日で消化し、想定通りの施工性を発揮した。
今後、主流になることが確実視されている5〜6MWクラスの風車施工では、工期面で圧倒的に有利になるとしており、「今後、リプレース需要により大型化が進む陸上風車に対して、SMTCの採用を提案し、受注拡大につなげる考え」としている。