北海道は4月23日、「災害時ドローン活用ハンドブック〜平時と災害時をまたぐシームレスなドローンの活用」を公開した。昨年度実施した災害時のドローン活用に関する調査・実証事業の結果と取りまとめたもの。
同事業で検証した平時と災害時をまたぐシームレスなドローンの活用について、実証の結果や明らかとなった課題などを整理。自治体がドローンを災害対応に活用する際の基本的な制度、活用事例、課題と対応策などに関する実践的な参考資料となることを目的として作成した。

災害対応でのドローンの活用について、発災前、発災後(1週間以内)、発災後(1週間以降)といった各段階に応じた運用方法を説明。 被災状況の把握や避難誘導、インフラ点検、緊急物資の輸送など、実務に即した内容を紹介している。
また、能登半島地震をはじめとする実際の災害におけるドローン活用事例を収録。運用上の課題、関係機関との連携、民間事業者との協働に関する知見を紹介したほか、平時からの利用を通じた災害時の効果的なドローン活用実証事例を紹介している。
実証に協力した北海道大学大学院工学研究院の川村洋平教授は「平時と災害時をまたぐシームレスなドローン活用という考え方は革新的なもの。平時にはインフラ点検、測量、農業支援、物流など多岐にわたる分野でドローンを活用し、災害時にはその経験を生かし、迅速な被災地の状況把握や物資輸送、救助活動に活用することで、被害を最小限に抑え、人命救助の可能性を高められる。このような一貫した運用体制が整えば、非常時にも即座に対応できる社会インフラが実現し、安心・安全な社会づくりに貢献する」とコメントしている。
また、筑波大学計算科学研究センターの北原格教授は「プロジェクトでは、災害想定に基づくドローン運用の検討ではなく、計測・物流・観光など日常的な利用によってドローンを社会インフラ化し、その枠組みの中で災害時での利活用を実装する平時と災害時をまたぐドローン運用の実現を目指している。この取り組みが広がることで、ドローンの社会的受容性が高まり、安全・安心な社会が実現することを期待している」とコメントしている。