アークス(横山清社長、札幌市中央区)は12月25日、バローホールディングス(HD)(田代 正美会長兼社長、恵那市)、リテールパートナーズ(田中康男社長、防府市)との間で「新日本スーパーマーケット(SM)同盟」と銘打つ戦略的な資本業務提携を行い、同日付で同契約を締結したと発表。
3社は、地域密着型の独立系食品流通企業として、それぞれの地域に根差しながら、消費者らの生活インフラを守るべく事業活動を行っている。
アークスは「北海道・東北地域」においてSM事業子会社8社を中心に食品流通企業グループを形成。事業子会社各社に適切な範囲で権限を委譲することを通じて、消費者との距離を短く保つ「八ヶ岳連峰経営」をグループ運営の基本に掲げ、中日本・西日本それぞれの地域における中心核たりえる代表企業との連携の可能性について情報交換を重ねてきた。
バローHDは、「東海・北陸地方」を中心にSM、ドラッグストア、ホームセンター等の多様な事業を展開し、製造から流通・販売までを一貫して担う「製造小売業」を志向するビジネスモデルを構築。 SM事業においては、主要地域を代表する有力企業との連携を通じ、各社の強みを結集した、より強固なビジネスモデルへと進化させることが必要と認識し、協議を重ねてきた。
リテールパートナーズは、「中国・九州地方」において食品SMを主業とする会社の連合を形成。同じ考えを有する東日本・中日本の独立系食品流通企業と連携することにより、西日本における連合形成を加速すること及び経営基盤の強化が図られると認識し、実現に向けた協議を重ねてきた。
3社の主要事業であるSM業界は、人口減少と高齢化社会の進行、消費行動の多様化、人手不足による人件費の増加といった事業環境の変化と併せて、総合スーパーやコンビニエンスストア、ドラ ッグストア、ディスカウントストア、Eコマースなどとの業種・業態の垣根を越えた競争が激化するとともに、経営統合や提携による業界再編の動きが一段と加速している。
こうした業界動向のなかで、3社はそれぞれの地域に密着した独立系食品流通企業として、今後も将来に亘って生き残りを図ることで地域の食品流通インフラを確保し、その食文化・食生活を守っていくことが使命であると捉え、この志を同じくする食品流通企業による全国的な結集軸の創出が必要不可欠との認識を共有した。
また、それぞれが有する経営資源やノウハウを尊重し共有し合うことで、食品SMとして共通の課題への適切な対処や、ビジネスモデルの革新に繋げていくことを実現できる認識した。
戦略的な提携関係を確実なものとし、それぞれの展開エリアを越え、「全国にまたがる結集軸」であることを明確に示すために、3社それぞれが、お互い一定の割合の株式持分を有する株主として共通の利益を享受する立場に立つべきであるとの結論に至った。
3社は、この資本業務提携を通して相乗効果を生み出し、企業価値及び株式価値の一層の向上に努め全国的な結集軸として「業界再編の中心核」になることを目指すべく、今回の資本業務提携を「新日本スーパーマーケット同盟」と命名することとした。
業務提携の内容は下記の通り。
(1)既存領域の強化
①地場商品や産地情報、取引先情報の相互共有
②資材・備品・什器などの共同購入
③店舗開発、店舗運営などのノウハウの共有
④物流やセンター運営のノウハウの共有
⑤スポーツクラブ事業などの小売周辺事業の共同展開
⑥人材採用や人材教育に関するノウハウの共有 ほか
(2)次世代に向けた取り組み
①カード事業の共同研究、及び統合に向けた検討
②バックオフィス業務の統合も含めた共同研究
③金融、決済事業に係る共同運営の検討
④スマートストア(次世代型店舗)など新たなテクノロジー対応への共同研究 ほか
3社の連結実績及び業績予想は下記の通り。
▼アークス
前期連結実績(平成30年2月期):売上高5139億5500万円、経常利益163億6600万円、純利益102億5500万円。
当期連結業績予想(平成31年2月期):売上高5220億円、経常利益163億8000万円、純利益100億円。
▼バローHD
前期連結実績(平成30年3月期):営業収益5440億2000万円、経常利益149億3700万円、純利益75億7000万円。
当期連結業績予想(平成31年3月期):営業収益5600億円、経常利益163億円、純利益90億円。
▼リテールパートナーズ
前期連結実績(平成30年2月期):営業収益2289億8200万円、経常利益61億8100万円、純利益190億6500万円。
当期連結業績予想(平成31年2月期):営業収益2310億円、経常利益63億円、純利益37億円。