「道民の生活を支える物流を語る in Sapporo」物流維持考える

北海商科大学と北海道運輸交通研究センターは3月13日、北海商科大学で「道民の生活を支える物流を語るin Sapporo」と題したシンポジウムを開催した。北海道経済と道民の生活を支える「物流」を維持発展させる方策を考えることを目的とし、北海道経済連合会、北海道商工会議所連合会、札幌商工会議所、北海道物流を支える鉄道輸送の会、鉄道貨物協会北海道支部、海道通運業連盟、北海道通運業連合会などが後援した。

北海商科大学・大学院の阿部秀明教授は「人手不足や労働時間管理の厳格化、青函共用走行問題、JR北海道の営業区間見直しなど道内物流は多くの問題を抱え、このままでは『必要なモノを必要な時に必要な所に届ける』という物流の使命を果たせなくなる可能性がある」と指摘し、同大学・大学院の相浦宣徳教授は「製造者、販売者、消費者、物流事業者が集まって話し合うことで、『生産地からの輸送力が落ちた』『物流コストが上昇した』といった場合に北海道の経済・道民の生活がどうなるのか問題意識を共有するとともに、情報発信をしたい」と話した。

シンポジウムでは、食品スーパー大手・ラルズの松尾直人常務がモーダルシフト、帰り便の活用、地域通関の推進、自社センター構想など同社が進めている物流対策を説明し、物流事業者に対し「昔のようにトラックが格好良いという魅力をつくってほしい」と述べたほか、「庫内作業などに外国人技能実習生が導入されるよう働きかけてほしい。他の産業では、業界団体などが積極的に動き、制度設計をするなどして実現させている」と呼びかけた。

ネスレ日本SCM本部の上野剛マネジャーは、北海道への製品納入の現状を報告し、「自然災害、長距離輸送、人口減少」など北海道特有の物流の課題を指摘。「どのような輸送モードでも活用できるよう、パレットなどのフォーマットを統一してほしい」と要請した。

北海道消費者協会の矢島収専務は「消費者として便利で安価なネット通販を使うことで、物流事業者の過剰サービスやトラックドライバーの長時間労働、低賃金につながっているのではないかと、後ろめたい部分がある。宅配料金の引き上げも遅きに失した。物流は、滞った時に有難さを痛感する」と昨今の物流業界の動向について感想を述べた。

相浦教授は「物流費が高騰した場合、北海道の生産者と消費者が一方的に負担することになりかねない。商品が欲しくても『高くて買えない』『欲しくても売ってもらえない』といった非常事態になる可能性もある」と警鐘を鳴らした。

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