札幌商工会議所  貨物・運送業向け「BCP作成実務研修」 震災・ブラックアウト後、関心高まる

札幌商工会議所は2月19日、東京海上日動火災保険との共催により、北海道経済センターで貨物・運送事業者の会社経営者・管理者などを対象とした「BCP作成実務研修(貨物・運送業編)」を開催した。

主催者を代表して、札幌商工会議所運輸・自動車部会貨物運送・倉庫分科会の野村佳史分会長(丸日日諸産業)が「運送・倉庫業は昨年の北海道胆振東部地震とブラックアウトの際、通信が不通となり、道路では信号機が消え、ガソリンスタンドでは燃料供給をしてもらえず、倉庫からは出庫ができず、『荷物はあるが、届けられない』状況に陥った。災害はいつ発生するか分からず、だからこそBCPの作成が必要となる」と挨拶を述べた。

東京海上日動火災保険北海道業務支援部部店支援グループ担当次長の鈴木浩太郎氏を講師とし、「運送・物流企業向けBCP」の作成と運用をテーマとした講義と演習を実施。
鈴木氏は講義で「近年の震災事例と震災対応の枠組み」について説明。災害発生時の優先順位は、①生命の安全確保②地域社会の安全確保への協力③重要業務の継続ーだとし、③にかかる実行計画がBCPであると解説。
「道内では胆振東部地震以後、荷主企業からBCPの作成を要請される運送会社が出てきている。先んじて対策しておくことが求められる」とし、「想定リスク」「目標復旧期間」「重要業務の選定」などBCP構築のプロセスを具体的に解説した。
「業務を止めるか止めないかの取捨選択は、冷静に判断できる平常時に網羅的かつ論理的に行う」「様々なシナリオをもとにした分析により、必要な業務レベルを設定し、業務の実施に必要なリソースの確保を準備する」といったことの重要性を強調したほか、BCP構築には「巨大地震をベースに検討を行えば、その他の自然災害にも応用可能な部分が多い」と述べた。
演習では、実際に大地震が発生したという想定のもと、初動の対応などをシミュレーションする「BCP机上模擬訓練」が行われた。

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