北海道農業ジャーナリストの会(HAJA)のブックレットシリーズとして2冊目となる「激変する農産物輸送」が7月5日に発行された。
著者は北海商科大学の相浦宣徳教授と北海道地域農業研究所の冨田義昭顧問。全69ページ。価格は500円。
まえがきでは、「農産物輸送、激変の時代を迎えて」と題して、HAJA編集委員の久田徳二(北海道大学客員教授)、中原准一(酪農学園大学名誉教授)、佐久間亨(北海道農業会議専務理事)の3氏が、北海道の農産物輸送が直面する課題等について鼎談。JR北海道の経営危機、青函共用走行問題、トラックドライバー不足などにより、「北海道農業にとって今まで積み上げてきた物流体系が崩壊していく」ことを懸念し、問題提起を行っている。
第一章は、「北海道物流の課題と農業への影響」と題して相浦教授が執筆。北海道物流の特性や課題を整理し、「農産品を運びたくても『運べない』、運んでも『相当の対価が得られない』、運んだところで市場価格が高すぎて『見向きされない』。そんな危機が迫っている」と指摘。北海道の物流の生産性向上に向けて、荷主である農産物の生産者らに「自らの経営問題になる。当事者として今からトラック事業者らとの連携・協働をはじめて欲しい」といった旨を訴えている。
第2章は、「高度成長期以降の青果物移出と物流」と題して冨田顧問が執筆。昭和30年代前半からの北海道の農産品に関する輸送モードや輸送エリア、輸送方法の推移を示し、JR北海道の路線見直しの問題について「(貨物)輸送全体を含めたオール北海道の知恵」が弱いと指摘。「物流を踏まえておかなければ産地形成も何もあったものではない」とし、生産者、農協関係者、物流業界を含めての「情報共有を図る必要性」を強調している。