UD、日通、ホクレン 8月にレベル4技術用いた自動運転トラックの実証実験を実施

UDトラックス(酒巻孝光社長、上尾市)、日本通運(齋藤充社長、東京都港区)、ホクレン農業協同組合連合会(内田和幸代表理事会長、札幌市中央区)は7月19日、農産品の輸送力確保、トラックドライバー不足の解決に向け、北海道庁の協力のもと、レベル4技術を用いた自動運転の共同実証実験を行うと発表した。
国交省の「自動運転車の安全技術ガイドライン」によると、レベル4の自動運転とは、「高度運転自動化」のことを指し、安全運転に係る監視・対応の主体が「運転手」ではなく「システム」となり、システムが全ての動的運転タスク及び作動継続が困難な場合への応答を限定領域において実行するもの。

日本では、労働人口の高齢化や人口減少による労働力不足が急速に深刻化しており、なかでもトラックドライバーは、2027年には需要に対して24万人(25%)も不足するという研究機関のレポートが出されている。昨今、宅配便のドライバー不足が話題となっているが、貨物物流全体においては、農産物など一次産品をはじめとした、いわゆる商流貨物輸送が圧倒的なウェートを占めており、ドライバー不足が深刻化すると日常生活、ひいては日本経済の停滞につながりかねない事態も懸念されている。
これまでも荷主企業や物流業者が協力し、産地や製造地から消費地までの輸送をパレットで行う一貫パレチゼーション輸送の導入、大ロットの貨物については鉄道コンテナや内航海運を活用したモーダルシフトの推進などで輸送の効率化に取り組んできたが、ドライバー不足は加速度的に進展することが予測されており、自動運転をはじめとした次世代技術の活用によるイノベーションに大きな期待が寄せられている。

このような背景を踏まえ、今般、将来に向けた更なる輸送の効率化の取り組みの一つとして、3社は、ホクレンが保有する製糖工場と集積施設において、UDトラックスが開発したレベル4技術搭載の自動運転トラックを使用した実証実験を行うことにした。日本通運は、自動運転技術を使用した輸送業務の効率化に関して、同社の輸送事業における多岐にわたる知見を活かしアドバイスを行う。
共同実証実験は2019年8月の約1ヵ月間、てん菜集荷運搬コースを想定した実験用のルートで、UDトラックスが製造する大型トラック「クオン」をベースとした、レベル4自動運転技術を搭載した車両1台を使用し、自動運転の走行実験を行う。なお、自動走行には安全確保のため、ドライバーが乗車する。
共同実証実験で使用される走行ルートには、「ホクレン中斜里製糖工場」構内の敷地(てん菜運搬ルート、構内受入場、およびてん菜受入投入口周辺など)を含む。

今回の実証実験に際しては、自動走行実証試験に最適なフィールドとして積極的に実験を誘致している北海道庁が全面的に協力。北海道庁では、2016年に「北海道自動車安全技術検討会」を設置し、全国に先駆けて産官学連携のもと、自動走行に関し、実証試験の円滑化と研究開発促進のための環境整備や情報提供を行っている。今回の共同実証実験の実施を通じ、社会実装に向けたユースケースや課題を抽出し、物流のさらなる効率化に向けた仕組みづくりを加速させる。

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