CBRE「地方圏物流不動産マーケットのポテンシャルー半導体工場と2024年問題」

CBREは3月25日、「地方圏物流不動産マーケットのポテンシャルー半導体工場と2024年問題」と題したレポートを公表した。
「半導体工場の国内回帰」と「物流の2024年問題」を背景に地方都市圏の物流施設が注目され、先進的な物流施設が不足している地方都市圏では賃料の上昇傾向が鮮明であるとし、札幌圏、仙台圏、岡山圏、広島圏の物流マーケットの現状と今後の見通しを示したもの。

「半導体工場」の大型設備投資計画の立地の特徴は、地方都市に広く分散していることだとし、地方都市における工業製品の保管や流通需要を創出し、工場そのものが稼働する前から物流施設の需要を押し上げることが確認されていると解説。物流機能はこれまで人口集積地を中心に発展してきたが、半導体産業の活性化は、物流施設のデベロッパーの目を地方都市へ向けさせる契機となっていると分析した。

また、「2024年問題」への対策には、拠点の立地だけでなく、新たな機能が物流施設そのものにも求められ、トラックバースを多く備え、機械化投資に適した現代的なスペックが整った、新しいタイプの倉庫が必要となると説明。しか し、地方都市圏の先進的物流施設のストックは、その経済規模に照らしてまだまだ少ないのが現状であり、物流施設の開発の余地があるとの見通しを示している。

地方圏のうち、札幌圏、仙台圏、岡山圏、広島圏は自社倉庫が大半を占めており、賃貸型の物流施設が普及していなかった点が共通しているが、少しずつ大型マルチテナント型物流施設の供給が増えているとし、賃料水準も上昇傾向にあると解説している。

札幌県については、従来はBTS型や小型の賃貸施設で構成されていたが、「2018年に延床面積約2万坪の大型物件が竣工したことがマルチテナント型物流施設マーケットの本格的なスタート」と位置付けた。また、2023年には初めて年間複数棟(3棟)が竣工、2024年は4棟が供給予定で、物流エリアは札幌市周辺から千歳市周辺まで広がりつつあると解説。
竣工時の稼働率は過去は全般に低かったが、ラピダス工場の進出決定により製造業系の需要が浮上しており、すでに2024年竣工物件でまとまった面積でテナント内定した例もあるとした。もともと低水準であったことからも賃料は上昇傾向が顕著で、2023年は対前年比4.1%上昇したと報告している。

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