道経連 買い物困難者調査報告書

北海道経済連合会は11月29日、昨年7月より調査を進めていた買い物困難者の問題についての調査報告書「買い物困難者への取り組みにおける道内の現状と今後の在り方」を取りまとめ、発表した。 
 
道内の買い物困難者に関わる各種データや、道内外の関係者や自治体へのヒアリングやアンケート等を通じ、現状や課題を整理し、今後の取り組みの在り方を考察したもので、今後の買い物困難者への取り組みについて、「公益性を持ちかつ優先度の高い事業として認識している自治体」と「多くの利益は見込めないものの黒字化が期待でき、地域に貢献できる事業として認識する民間事業者」による「官民連携」が基本と示した。

道内の買い物困難者数が約45万人と推計される中、高齢化と人口減少による人口密度の低下がますます進み、「買い物困難者の問題が今後、拡大・深刻化する」とし、主な課題として、①自治体による買い物困難者の実態やニーズ把握の不足、②自治体における交通手段確保のみの取り組みの限界、③自治体単独での取り組みの限界、④商圏人口の少ない地域における採算確保、⑤宅配、移動販売、店舗のいずれにおいても人手が不足―の5点に整理。  

今後の取り組みの在り方として、「商業施設を自治体自らが整備するなど、民間事業者単独では事業展開が困難な地域においては、長期的な視点から自治体が中心となって積極的に投資や支援を行う」、「商圏人口が少なく民間事業者が展開困難な地域においては、自治体自身が小売事業者となってリスクを背負う一方で、商品供給などを通じて民間事業者がその取り組みを支える」といった官民連携の必要性を示した。

また、効率化や省人化を一層進める必要があるとし、「ドローンなど先端技術の活用」のほか、「無人決済システムが導入されたマイクロスーパーマーケット」、「バスやタクシーなどを利用して宅配等の貨物を運ぶ貨客混載」、「スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの異業種間で共同の物流を構築することで商品供給」、「買い物困難者と日々接する新聞販売店、郵便局、介護事業者などと宅配サービスを行う小売事業者の連携」といった取り組みが有効と示した。

結びで行政に対して、「買い物困難者への取り組みは地域住民の福祉向上につながる施策」であるとし、「まずは各自治体が地域の実情を調査・把握したうえで、民間事業者と連携しながら各地域に適した取り組みの検討を進めるべき」、「最も重要なのは、住民が買い物困難者への取り組みを理解し、それに参加すること。高齢者だけではなく、買い物困難者以外の多様な世代の住民も巻き込んで議論を進めることで、多くの住民に当事者意識を持ってもらうとともに、事業開始後においても利用促進に向けた施策を実施していくことが必要」と提言している。

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