JETRO北海道、北海道経産局、新輸出⼤国コンソーシアム北海道ブロック連絡協議会は8月1日、ANAクラウンプラザホテル札幌で「新輸出⼤国コンソーシアム 中堅・中⼩企業海外展開セミナー」を開催した。
道内の中小企業が商品の輸出を行う際、ロットの小ささ、物流コストの高さ、手続きの煩雑さ、海外でのマーケティングの弱さ、代金回収のリスクなどがネックとなり、とりわけ少ロット商品の展開が難しい状況が続いてきた。少量輸出についての課題解決に向けて、地域商社・物流機能を提供している道内3社がそれぞれの強みやサービスの概要を紹介した。
ロシアへの輸出に強い北海道総合商事(札幌市中央区)の髙橋健一営業部副部長は、道産加工品、農産品、水産品等の輸出実績を紹介し、「ロシアに100%出資の現地法人を持っており、『当社が輸出し、現地法人が輸入する』というスキームにより、道内企業は当社との取引だけで済み、国内取引となる。これにより、海外取引の多くのリスクが軽減でき、テストマーケティングなどで少量の商品を輸出する際には、リスクを負わずに実行できる。反面、手数料が上乗せされる」と説明した。
官民連携による輸出促進のプラットホーム機能を提供している北海道国際流通機構(同中央区)の⿃取義之代表理事は、冷蔵冷凍品ダンボール1箱単位でも輸送・輸出手続き等を代行し、海外での商流のマッチングも行うと述べ、「小口輸送は当機構が輸送費等の一部を負担するので、他社のサービスよりも安価に輸出できる」と説明。また、台湾での大型ショッピングモールでのテスト販売事業を紹介した。
共同配送や物流の仕組みづくりに多くの実績を持つ北海道物流開発(同西区)の佐藤忠新規事業開発部副部長は、産地から道内の輸出港・空港までの物流費を抑制するために「中ロット貨物の創出」と、輸出品の価値を高めるために「物流費に見合う荷物の創造」が必要と指摘。大ロット(コンテナ)や小ロット(ダンボール)ではなく、パレットやコールドロールボックス単位の中ロット貨物を創ることで、物流効率が高まると説明し、このための実験を進めていると話した。また、「販売単価の安い産品」と「販売単価の高い産品」を混載させるなど「荷物自体の付加価値向上」を行うことで、物流単価を抑えられると説明した。
このほか、海外展開に取り組む道内事業者の体験談として、すずき(根室市)の鈴木新一社長が「根室からベトナムへーなぜベトナムでメガネ店舗を開いたか」と題して基調講演を行った。
ベトナム市場における日系初の眼鏡専門店をオープンさせた同社長は「「道内では、考えただけで終わり、実行しない中小企業が多い。中小企業の海外での事業展開にあたっては、覚悟を決め、決断し、行動することが重要。経営トップは率先垂範、有言実行を貫く必要がある」と述べた。
また、「当社が一番乗りになれたのは、途中で諦めなかったから。成功するまで諦めないことが肝要だ。悪化する経営環境を言い訳にせず、環境と心中をせず、独立自尊の精神で、情熱・熱意を持ってハードワークで道を切り開くことが重要。志を高く、能力を未来進行形で考えてほしい」と訴えた。