北海道物流人倶楽部(斉藤博之代表幹事)は9月9日、札幌第一ホテルで第44回目の例会を開き、「トラック業界を取り巻く当面の諸課題等について」と題して、北海道運輸局の髙橋秋彦自動車交通部長、増田禎士貨物課課長補佐が講演した。70人が参加した。
増田課長補佐が「ドライバーの高齢化と人材不足が深刻化し、北海道では10年後には『4人のドライバーが必要とされるところ、3人しかいない状態になる」と想定している」と警鐘を鳴らし、トラック運送業界の働き方改革や適正取引推進に関する各種法令の改正概要などを説明したほか、これらに対応するために行っている国交省の様々な取り組みを紹介。
北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会の平成30年度のコンサルティング事業について、「日用雑貨卸と特積み事業者による物流センターへの納入業務を対象に行った結果、荷卸し時間60%の削減につながった。より大きな成果といえるのは、これをきっかけに着荷主と運送事業者の間で強力なパートナーシップが構築され、さらなる改善に向けて現在も話し合いが進められていること。荷主企業に対して、運輸局は直接的なアクションをあまり行っていないが、こういった実証実験に荷主を積極的に巻き込み、物流改善の必要性を考えてもらうようにしていく」と説明。
また、「北ト協をはじめ、関係省庁の連名により5000社近い荷主企業に『トラック運送業界における適正取引の推進及び長時間労働の是正への理解と協力を求める依頼文書』を送付しており、多くは『サッと見られているだけ』かもしれないが、諦めず、粘り強く、何度でもこういった文書を送っていきたい」と述べた。
ホワイト物流推進運動については、「賛同企業は9月末で一旦集計し、10月に発表する予定。現在北海道の荷主企業として、百貨店の札幌丸井三越や事務用品を扱う大丸などが賛同表明をしている。荷主企業に対して周知するとともに、運送事業者も『検討』ではなく、早めに手続きを進め、『申し込み』をしてもらいたい」と呼びかけた。
標準的な運賃の告示制度については、「来年の12月までに施行する予定だが、多くのデータを集め、関係者の意見を聞き、なるべく早い段階で示すべく取り組んでいる。『守れなければ違反』というものではなく、あくまで運賃交渉や適正な原価計算を行うためのデータとして活用してもらいたい。詳細はまだ未定」と見通しを述べた。
「トラックドライバーには、時間外労働の上限規制に5年間の猶予があるが、この間に他産業に人材が流れてしまう恐れがある。労働時間や労働環境の改善は、運送業界だけでは対応できない部分が多い。荷主企業としっかりパートナーシップを構築し、長時間労働の是正に向けて勇気をもって働きかけを行ってほしい。みなさんと一緒に考え、取り組みを進めていく」と参加した運送事業者に向けて呼びかけた。