シノプス「在庫管理・発注業務DX」実証の結果公表 北海道で「リードタイム延長」「店舗配送平準化」の実験実施

シノプス(南谷洋志社長、大阪市北区)は3月29日、経産省の事業「令和5年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(販促商品等のリードタイムの延長、物流レジリエンスの向上に向けた小売業の在庫管理・発注業務のDX)」において、在庫管理・発注業務DX実証を行ったと発表した。

需要予測型自動発注サービス「sinops-CLOUD」を活用し、サプライチェーンの起点となる小売において、欠品を防ぎつつ追加発注を58%削減することで、適正なリードタイムを確保でき、物流の効率化が一定程度見込めるなどの効果を確認できたとしている。

消費財物流の非効率につながっている、販促のリードタイム等の課題に着目し、需要予測型自動発注サービス「sinops-CLOUD」の導入による効果について、3つの実証実験を実施。このうち、北海道で2つの実験を行った。

1つ目の実験は「新商品・販促商品に係る発注適正化(リードタイムの延長等)」について。生活協同組合コープさっぽろ、北海道ロジサービス、加藤産業が協力した。

小売業では、新商品や販促商品においては販売予測がむずかしいため、小売業からの緊急で通常より短いリードタイムでの追加発注が発生し、計画外の配送を行うといった非効率が発生していた。また、そういった要望に応えるため、卸売業でも過剰な在庫確保など、物流センター内業務の生産性低下といった問題を引き起こしていた。
そこで、従来は直前までおこなわれていた販促初週の人による追加発注分も考慮した上で需要を予測し、早期(14日前)に発注量を確定させ、卸と需要予測に基づく適正な在庫量を連携する実証実験を行った。実験は1月24日~3月5日にかけて、コープさっぽろ25店舗(札幌東地区)で実施、対象商品は新商品・販促商品48SKU。
この結果、「sinops‐CLOUD」の需要予測を使った場合、リードタイムが2週間以内の追加発注の割合が従前より58%削減した。また、需要予測を使用した店舗の方が、未使用店舗よりも欠品率が低く、残在庫日数も同程度だったことが分かった。
また、「sinops‐CLOUD」の需要予測を使ったシミュレーションと、実際の販促期間の卸の平均在庫数を比較したところ、需要予測を使った場合には、販促期間中の18SKUあたりの卸在庫は2274ケースから1573ケースへ30.8%圧縮できることが推計された。

2つ目の実験は、「店舗配送量の曜日平準化」について。生活協同組合コープさっぽろ、北海道ロジサービスが協力した。

一般的に、店舗の売上は曜日によって大きく異なるため、店舗の発注量、納品量も曜日によって大きくばらつくが、この結果、店舗の陳列作業や配送業務、物流センター業務の効率悪化に繋がっていた。そこで、販促納品分を加味したうえで、直近7日間の需要予測を活用し、賞味期限日数や定番棚のキャパシティを考慮、極力曜日ごとの納品量が一定になるような発注数の起案を実施した。

実験は2023年11月13日~2024年3月24日にかけて、コープさっぽろ26店舗(札幌東地区、日配は17店舗)で実施。対象商品は、食品・菓子・日配・日用品カテゴリ全商品。
需要予測を使って店舗納品量を曜日平準化した結果、納品量のばらつきが日配以外では1店舗/1週あたり86%から28%に抑制、日配では1店舗/1週あたり122%から21%に大幅に抑制され、かつ欠品率が減少し、ロス率も従前と同程度だったことが分かった。
また、店舗納品量を平準化したことで、店舗での商品陳列工数が1店舗/1カテゴリ/1週あたり32.5人時から20.0人時に38%削減された。これは、年間1店舗あたり65万2600円のコストに相当、人時生産性が向上したと考えられるとしている。

加えて、配送トラックの調達計画を検討した結果、物量によって増便していた配送トラックの台数が1地区/1月あたり64台から39台に39%削減できると推計された。ました。これは年間1050万円のコスト、1万1061㎏のCO2排出量の削減に相当する。
また、全店舗・全カテゴリで店舗納品量を曜日平準化し、都度運んでいた納品アイテム数を集約することで、一日あたりの納品SKU数を削減。結果、物流センターの人員稼働の計画上、物量によって増やしている人時が全センターで年間47万3782人時から45万92人時に5%削減できると推計された。これは、4181万円のコストに相当する。

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