北海道交通・物流連携会議   各主体が道内での取り組み状況報告

北海道交通・物流連携会議(座長・吉見宏北海道大学大学院経済学研究院教授)の今年度2回目の会合が3月13日、ホテルポールスター札幌で開催され、事務局が「北海道交通政策総合指針」「北海道航空ネットワークビジョン」に関する道内様々な主体のこれまでの動き、「物流対策WG(座長・岸邦広北海道大学大学院工学研究院准教授)」「情報共有・対応強化WG(座長・石井吉春北海道大学公共政策大学院特任教授)」での協議の進捗状況を報告したほか、参加企業・団体がそれぞれの取り組み状況を説明した。

同会議は、北海道が今年3月に策定した「北海道交通政策総合指針」の重点戦略等を官民が一体となり効果的に推進するための協議の場であり、学識経験者、交通・物流事業者、経済団体、業界団体、行政機関等で構成されている。

「物流対策WG」は、「北海道における安定的かつ効率的な物流体制の確保」に向けての検討を進めており、これまで3回開催。トラック・鉄道貨物輸送、海上輸送、航空輸送のそれぞれの現状と課題の共有を行っており、今後は「道内及び本州方面への各輸送モードが連携した輸送方法についてのケーススタディ」「北海道全体の物流の効率化・最適化の観点から、総合的な対応策の検討」などを進め、各モード間の役割分担を含めた「北海道の物流の将来の方向性」を取りまとめる予定。

参加者による取り組みの説明では、北ト協の西原英二常務は、2023年度からの「中小企業への月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率引き上げ」、2024年度からの「自動車運転者への時間外労働の上限規制の適用開始」などに触れ、長時間労働の改善に向けて2015年度から「北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会」を開催していると報告した。

北海道船主協会連合会の馬場信行会長は、2020年から始まる船舶燃料油SOx(硫黄酸化物)規制への対応について言及し、「規制適合油に関して未だ石油元売りから価格や供給数量についてのアナウンスがない状況。海運事業者への負担は大きく、燃料油価格変動調整金や運賃上昇などユーザーへの環境コスト転嫁の可能性を認識しておいてほしい」と述べた。
また、JR路線維持問題と青函共用問題等によりJR貨物による輸送力維持に懸念がある中、「JRコンテナは、海上輸送で容易に対応ができる。農産物等の大量・安価な輸送の一助になれる」と述べたほか、昨年発生した北海道胆振東部地震の際に緊急物資輸送を多く行い、「社会貢献につながった」とアピールした。

JR貨物の花岡俊樹経営統括本部副本部長は、「長距離・大量輸送」に向いている鉄道貨物輸送の特性を説明し、「人手不足の中、生産性向上に資する輸送モード」であるとアピール。「物流WGでは季節波動や片荷の問題にスポットが当たっているが、より大きなテーマは人手不足。人手不足によりモノが運べないと、経済全体が落ち込む。人手不足を扱うWGの設置の必要があるのではないか」と問題提起をした。
また、青函共用問題について「新幹線を優先して、現状の鉄道貨物のサービスレベル、リードタイム、コスト、品質を毀損することになれば、北海道経済全体にマイナスの影響があると危惧している。もっと幅広い視点で対応を考えていく必要がある」と主張した。

このほか、北海道経済連合会や北海道商工会議所連合会が取り組み状況を説明し、「青函物流の海上輸送への移行」「新幹線による物流」などを研究していることを報告した。

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