道経連は物流プロジェクトチームを設置し、北海道の食産業の発展と活性化につながる物流システムの実現に向けて取り組むべき事項を調査・検討した。
その結果を6月18日、「北海道における食関連産業を支える物流のあり方~北海道の食産業の発展と活性化につながる物流システムの実現に向けて」と題した報告書において発表した。
同報告書では、北海道の食関連産業における物流上の根本的な課題として「季節繁閑」「片荷」「ドライバー不足等による輸送能力の低下」を挙げて、効果的な対応策として「秋季のピーク・カット・平準化(出荷調整)」を示した。
また、ピーク・カットや平準化という民間事業者が取り組む自助努力だけでは、物流の高度化は限定されることから、「国や道に求める支援」についても整理をした。
トラック運転手不足による輸送力の低下から、今後北海道の農水産品が運べなくなる懸念があり、いかに効率良く運ぶかは、喫緊の課題であるとし、今までのように「当たり前にモノを運んでいた」時代から、「物流の限られたリソース(人材・機材)を事業者間で連携を深め、情報を共有しながら事業を進めて行く」時代が来ているとの認識を示し、具体的には、次のような点を提言している。
▽出荷量の調整や市場ニーズに対応したタイムリーな出荷に向けて、複数の温度管理や加工処理など高機能を持つ冷凍冷蔵庫による長期保管の推進。
▽道内外のサプライチェーン全体でのIoTの活用による荷物・コンテナ・輸送車両等の稼働状況・コンテナ等の空き状況の把握のための情報共有化システムの構築。
▽道内31の高規格道路での自動走行実験。
▽道内間・道外間の物流に要する時間の縮減、効率的な輸送に向けて、道路や港湾など交通基盤の強化と効率的なネットワーク化・JRの路線の維持。
▽小口多頻度需要の拡大が見込まれる航空貨物への対応のため、新千歳空港を輸出拠点としつつも、産地近郊の地方空港との連携、航空輸送に対応した高機能の冷凍・冷蔵倉庫を中心としたストックスペースの拡充。
▽一層の拡大が見込まれる輸出需要への対応として、相手国の輸入規制見直しに向けた交渉、世界的な衛生基準への対応支援、輸出促進に繋がる技術開発支援。