JL北海道 地域本部大会「2024年問題」でパネルディスカッション

JL北海道地域本部(細貝大衛本部長、光輪ロジスティクス)は6月25日、ホテルポールスター札幌で2022年度北海道地域本部大会を開催し、約130人が参加。「2024年問題」をテーマとしたパネルディスカッションとグループディスカッションを行った。

パネルディスカッションは、「2024年問題をどう取り組むか」と題し、コーディネーターとして同地域本部副本部長の工藤英人氏(工藤商事)、パネラーとして長谷川朋弘(弘和通商)、永吉大介(富良野通運)、清野敏彦(ジャスト・カーゴ)の各氏が登壇、各社の取り組みや課題などを話し合った。

永吉氏は冒頭、「2016年から2021年の5年間で道内の大型免許保有ドライバーは約37万6000人から約35万5000人へと2万1000人減少し、うち30歳〜44歳の保有者が2万人減った。今後のドライバーの充足率や年齢構成が懸念される。また、中小企業への割増賃金引き上げが来年度から開始され、時間外労働の上限規制は再来年度から始まる。改善基準告示の改定も行われ、時間外労働時間や拘束時間は月間20時間程度短縮が予想される。運送事業者各社はこれに耐えられるのか」と、人材不足の加速と労働時間の短縮が待ったなしで進んでいると問題提起。
対策として、積載を増やすため、大型車からトレーラーへの転換に着手し、けん引免許の取得を働きかけていると説明。また、トラックごとに専属ドライバーを充てることを改め、シフトを柔軟化させる準備していると述べた。

清野氏は、荷主と協議し可能な範囲で荷役作業の効率化・省力化を進めていると述べ、「建材の輸送では、積み込みだけでもパレット積みに変更するなど、女性や高齢者でも働ける環境整備に努めている」とし、長谷川氏も「バラでの扱いが40年間続いていた農産品の輸送が昨年度パレットに切り替わり、残業時間が大きく減った」と述べた。

今後の課題として、運賃交渉の話題が多く挙がり、清野氏は「一部荷主で燃料サーチャージ制が導入できたが、運賃値上げはなかなか進まない。応じてもらえない場合は、その仕事の縮小を考えるケースも出てくるかもしれない」としたほか、「労働時間が減ると売上高とドライバーの給与も下り、離職の増加も予想される。残業時間に依存しない給与体系の見直しを行っていく必要がある」と述べ、複数の社労士と弁護士からアドバイスを受け、就業規則や給与規定の見直しを進めていると説明した。

永吉氏は「運賃値上げを、ドライバーの給与や待遇に還元させると社内に示すことが重要。目的を理解してもらうことで、社員も交渉に動き出すようになった。この際、運賃を見直す意思だけではなく、値上げの時期までしっかり確認することがポイント。値上げに応じてもらえない場合、どうするか方針を決めかねており、一定のラインを引かなければならないと感じている」と話した。

長谷川氏は「現在行っている運賃交渉は2024年問題とは別で、車両やタイヤ、燃料価格やフェリー料金の高騰分の値上げをお願いしている。『自社の努力の範疇を超えている』と訴え、サーチャージ導入を含めて対応してもらっている。2024年問題には、来年度から別途交渉を行う。労働時間が減っても、ドライバーの収入が変わらないよう交渉していく考えだが、ゼロ回答の場合、撤退を含め大胆に決断していく気概を持っている」と述べた。 
また、人材確保・定着に向けて自ら社内でカレーやパスタなどを調理し、振舞っていると説明。「社内をフランクな雰囲気にするために行っており、これを楽しみにしている求職者もいる。質の高い仕事をしてもらうために、社内の雰囲気作りに配慮している」と述べた。

パネルディスカッションの後、グループディスカッションを行い、各社の取り組みや悩みなどを共有した。

このほか、同地域本部の活性化に貢献した企業・単協への表彰が行われ、取引高前年対比UP率上位組合としてJL札幌、JL丹頂釧路、JL旭川が表彰された。
取引高前年対比UP率上位組合員として太陽運輸、坂本輸送サービス、旭川ロテック、同UP金額上位組合員として丸日日諸産業、坂本輸送サービス、光輪ロジスティクス、契約1・契約2数上位組合員として対馬運送、緑東運輸、ネストロジスティクス札幌営業所、増員数上位組合としてJL旭川とJL道央がそれぞれ表彰を受けた。
また、社会貢献活動として、光輪ロジスティクス(清掃活動)、サンテック(サプライズ花火の打ち上げ)、ジャスト・カーゴ(はたらく車の体験学習)、誠和運輸(押しボタン式信号周辺除雪)、たけむら(清掃活動)、西尾運送(清掃活動)、富良野通運(清掃活動)の7社が表彰を受けた。

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