北海道は4月6日、「冬季ドローン飛行ガイドライン」を作成し、公表したと発表。冬季飛行に関するガイドラインは全国初となる。
ドローンは、バッテリーの性能低下など寒さに弱く、道内では通年の利用が難しいとされており、今後、物流や災害対策などの分野で活用を拡大していくにあたり、大きな課題とされている。北海道では令和4年度に「積雪寒冷条件下におけるドローン活用実証事業」として冬季飛行の実証を進め、活用可能性の検証を実施、その成果を同ガイドラインとして取りまとめた。冬季飛行について注意事項を整理し、チェックリストを掲載。このほか、ヒヤリハット事例や、事故対応に関する情報、ドローン事業者一覧も掲載している。
同ガイドラインでは、-10度を下回る気温条件下においても、「適切な機体・運用方法であれば、冬季でも安定的に利活用できる」ことを確認、低温に対応していない機体であっても、「バッテリーを暖める」ことなどで、低温の影響をある程度回避できる可能性を示している。
吹雪等の悪天候時には視界不良やセンサーの不具合なども想定されるため、冬季は「より一層の安全確認・天候判断が必要」とし、また、バッテリーに起因しないと思われるエラーも発生したため、「電子回路や部品等が低温化では通常通り動作しない」可能性も推測されたとしている。
具体的な対策として、「事前にバッテリーを屋内で保温」「バッテリーに断熱材や、断熱シートを装着」「操縦者の防寒対策」「離陸直前は機体に雪がかからないようカバーをかける」「着陸時に雪に埋もれたり、センサーが地面を認識しなかったりすることがあるため、離着陸地点にランディングパッドを設置」「機体の遠隔制御を行う運航責任者は室内から実施する」「運用直前には、バッテリーは室内の暖かい部屋での保管が必要。ワインセラーや暖房が効いた車のダッシュボードの活用も有効」ーなどを示した。
同ガイドラインでは、「バッテリーだけでなく機体全体を飛行前に暖めておくことが考えられるが、今後のさらなる検証が必要。現状では、低温に対応した機体は限定されており、北海道内での通年のドローン 利活用を進める上では、寒冷地対応した機体や部品の開発を進める必要がある」としており、「今回実証したユースケースは全道さまざまな地域で実装が可能であり、機体や部品の寒冷地対応、技術革新によって、ドローンがより一層の発展を遂げ、地域の 課題解決に貢献するものと考えている」とまとめている。