共同輸送・中継輸送実装研究会 行政が「共同輸送・中継輸送」マッチングを積極的に仲介 北海道モデル「ロジスク」提案

北海道開発局は7月10日、旭川合同庁舎で共同輸送・中継輸送実装研究会(座長・北見工業大学の髙橋清教授)の初回会合を開いた。行政が中心となり「共同輸送・中継輸送」の仲介を積極的に進める全国的にも非常に珍しい枠組み。ワークショップを活用した北海道独自のマッチングモデルとして「ロジスク」という考えを提案した。

「ロジスク」とは、「ロジスティック」と「スクラム」を掛け合わせた造語。北海道の「ロジスティクス」が「スクスク」育っていく意味も込めた。実証実験レベルではなく、恒常的な共同輸送・中継輸送の案件を成立させるよう「サブスク」のイメージも持たせている。年度内に同研究会から1〜2件の事例を成立させたい考えだ。

物流の2024年問題への対応策の1つとして、共同輸送や中継輸送の有用性が知られているが、荷主の理解を得なければ実現が難しい(荷主同士で合意すれば、比較的容易に実現している)のが実態で、とりわけ、地方の中小物流事業者が単体で取り組むにはハードルが高く、道内ではなかなか進んでいなかった。第3者的な立場である行政が中心となった同研究会が、この仲介を行う。今後、参画する事業者を広く募り、「ロジスク」による共同輸送・中継輸送の実例を増やしていく考えだ。

同研究会では共同輸送や中継輸送に取り組みたい物流事業者等に参加申請をしてもらい、事務局が「マッチングの可能性が高そうな事業者等をピックアップ」し、小規模なワークショップを作る。ワークショップの中で、さらに「相性のいい」少人数の事業者等を抽出してグループを組成。「当事者意識をもち、本音で、きめの細かい議論してもらう」ことで、恒常的な共同輸送・中継輸送の実現に繋げる。
事務局はこれら具体化に向けた協議の中で、情報提供や調整・斡旋など様々な形での支援を行う。「物流事業者は取り組みたいが、荷主が関心を持っていない」場合では、同研究会が「荷主への声かけ・参画の要請」などを行うことを想定しており、行政が「より踏み込んだ」形で関わっていく。

マッチングが成立した場合、「経緯」や「取り組みのノウハウ」などを蓄積し、他の事例への参考として周知する。当面は「道北エリア」での案件成立を目指すが、これを横展開し、全道的に「ロジスク」の輪を広げていきたい考え。

北海道開発局開発監理部開発調整課の三岡照之開発企画官は「共同輸送や中継輸送は、実現できそうな種があったとしても、事業者同士では損得勘定が出てしまい、最初の一歩が踏み出せないケースも少なくない。研究会が仲人役として間に入り、この一歩目を踏み出す手伝いをし、種を丁寧に育て、恒常的なビジネスとして成立させたい」と述べた。

髙橋座長は「北海道の域内物流は、本州では県や地方を超える距離となり、荷主も物流事業者も1つにならないと2024年問題は解決できない。この問題は2024年からずっと続くので、未来に向けた物流の仕組みを考え、北海道における優れた物流体系をスピード感を持って作っていきたい」と話した。

同研究会は、道北地域における共同輸送・中継輸送における場所やマッチング等の具体的な仕組みの検討を行う目的で3月15日に設立。北海道開発局、名寄商工会議所、名寄市総合政策部が事務局となり、学識経験者や行政機関などが委員となっている。初回の会合では、アドバイザーとして複数の荷主企業や物流企業が参画しているが、今後、委員として正式に加盟することを確認した。

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