北海道の物流現場への潜入、その雑感⑴

2022年の8月から、北海道内で展開する14社・17の物流施設で合計62回、320時間あまりにわたって短期アルバイトを行なった。

普段は物流企業を訪問しても、事務所で経営者や管理者から話を聞くことがほとんど。たまに倉庫やセンターに足を踏み入れることはあっても、「どのような環境で、どのような仕事が継続的に行われているか」を知る機会はほぼなかった。そこで、「物流現場の環境、働く人の意識、現場の良し悪し」などを実感として捉えたいと考え、長期にわたって複数の現場で実際に働いてみた。少ない現場だと1回しか働かなかったこともあり、そこを十分に理解できたとは言えないが、それでも現場ごとに「意外な発見」や「頭では知っていたが腹落ちした」など、学べること・考えることが多くあった。また、同じ内容の仕事を、違う現場で行うことで、見えてくるものもあった。あくまで一部の現場での体験を基にした感想ではあるが、物流現場で感じたことを記したい。

[物流現場潜入の概要]

17の物流現場では、多岐にわたる仕事を行なった。具体的には、ベルトコンベアやソーターへの荷物の投入と引き込み、カゴ車・パレット・台車への積みつけ、荷物の仕分け、ピッキング、検品、袋縛り、カートやカゴ車の搬送、商品の入庫・補充・棚入れ、梱包、段ボールの解体・封かん、トラックへの積み込み、自動倉庫への入庫・出庫、段積み機へのカゴ車投入、デバンニング、検量、ラベリングなど、肉体を使って行う仕事の多くを経験した。

また、扱った荷物の種類も多岐にわたった。温度帯ではドライから冷蔵・冷凍まで。生鮮食品、加工食品、飲料、日用品、衣料品、医療品、個人宅への荷物、EC商品、輸入貨物、また、時期的なものでは、新型コロナウイルスのワクチンや自宅療養者への生活支援物資の出荷に関わる業務も経験した。

このほか、自分が手がけた全くの同一のものではない(その可能性もあるが)ものの、「Aセンターでパレットに積みつけした商品を、後日Bセンターのラックからピッキングする」、「Cセンターの庫内で搬送したオリコンを、後日Dセンターでトラックに積み込む」「Eセンターで仕分けした商品を、店舗で購入する」など、サプライチェーンの一部を体感できる機会もあり、これも非常に勉強になった。

日本全体から見れば「辺境」にある北海道の物流現場だが、それでもどの現場でも「こんなにもこの商品が売られる・買われるのか」と思うほど、膨大な物量があり、膨大な人員が、膨大な作業を行っていた。

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