エア・ウォーター 十勝で家畜ふん尿由来のバイオガスからLBM製造 LNGトラック代替燃料としても活用予定

エア・ウォーター(豊田喜久夫会長CEO、大阪市中央区)は5月25日、家畜ふん尿由来のバイオガスに含まれるメタンを液化バイオメタン(LBM)に加工し、液化天然ガス(LNG)の代替燃料として牛乳工場へ供給する、一連のサプライチェーンモデルの構築と実証を十勝地方で開始すると発表した。
バイオガスからLBMを製造することは国内初の取り組み。
実証期間は2021年4月から2023年3月までの2年間で、2022年8月から実運用を開始する。
なお、同実証事業は、環境省が推進する「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」において優先テーマとして採択された。

LNGは環境性能に優れたエネルギーであるものの、海外で産出されたものを輸入し消費している。北海道は、酪農が盛んな地域を中心に年間約30万㌧のバイオメタンを製造できる潜在能力があり、これは北海道の都市ガスとしての利用を除いた工業用LNGの年間消費量の約50%に相当する。しかし、バイオガスプラントは一部地域での限定的な設置に留まっており、家畜ふん尿や未利用バイオガスの活用が大きな課題となっていた。

こうした現状を踏まえ、「再生可能エネルギーを活用したい」既存のLNG消費者と、「バイオガスを活用したい」酪農家双方のニーズを満たす、新しい地産地消のエネルギー供給モデルの構築を目指し、同事業を推進する。

同社は、原料となるバイオガスの捕集・輸送やセンター工場にてLBMの製造を行うほか、牛乳工場においてLBMがLNGの代替燃料として消費可能であることを実証する。
将来的には、製造したLBMは、近隣工場におけるボイラー燃料のほか、LNGトラックの燃料やロケット燃料としても活用する予定。

酪農家が保有するメタン発酵設備から、家畜ふん尿由来のバイオガスを捕集しセンター工場へ運搬。そこでLBMに加工後、タンクローリーで近隣の工場(よつ葉乳業)へ輸送し、工場のエネルギーとして消費する。

実証する内容は、①「域内に点在する酪農家がもつメタン発酵設備からバイオガスを捕集・輸送するシステム」、②「収集したバイオガスを適切に抽出し、LBMを安定的に製造する技術の確立」、③「液化バイオメタンが、LNGの代替燃料として消費可能であると示す品質実証」ーの3点。

同実証では、複数の酪農家からバイオガスを捕集し、年間360㌧のLBMの製造を計画。
全量がLNGの代替として消費されると、サプライチェーン全体でのCO2削減量は、年間7740㌧、温室効果ガス削減率は60%以上となる。

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