NHKは1月19日、札幌放送局が制作している地域情報番組「北海道道(ほっかいどうどう)」で物流の2024年問題を「トラックドライバー 冬を走る」というテーマで取り上げた。
2024年度からのトラックドライバーの時間外労働規制の開始により、「このまま対策がなされなければ、道内では2025年に荷物総量の13%が運べなくなる恐れがある」とし、道内のトラックドライバー、運送会社、荷主企業、学識経験者などの現状や考えなどを30分にわたって放送した。
ドライバーからは、規制により労働日数や時間が減るため、収入が減る不安を述べる声や、手積み手おろしが多いため、「(トラックドライバーは)運転ができる作業員であり、次生まれ変わったら運転手なんて絶対やらない」と言い切る切実な声を取り上げた。
また、規制を守るためにドライバーの労働時間が長くなる配送ルートをやむなくやめた運送会社や、道外からの荷物が到着する港湾を変更し、一度仕分けをしてから配送することで6時間以上の時間削減につなげた運送会社を紹介。「物流は生き物。変わっていかねければならない」という役員の声を取り上げた。
荷主企業では、「ドライバーの悩みを聞き取る・現場の意見を吸い上げる」ことで、現場のオペレーションの改善を進めている小売企業の事例を紹介。店舗内での搬送業務の担当をドライバーから店舗側へと変更したり、マテハンや什器の整理整頓を行うことで、ドライバーの労働時間が月間20時間の削減につながった事例を紹介した。
識者として出演した北海商科大学の相浦宣徳教授は「適切な運賃・料金を収受してドライバーの賃金に反映していくことが大事。効率化によりドライバーの所得削減になるなら本末転倒。メーカー、卸、消費者とも物流の問題を自分自身の問題として捉えることが必要。物流について考えることは、地域の将来のあり方を考えること」と話した。