デジタルガレージ(林郁社長、東京都渋谷区)は9月5日、提供しているSaaS「パンゲアデリバリー」が小売事業者の業務運用効率の改善を実現する大幅な機能拡張を実施し、国内初の小売事業者向けクイックコマース(即時配達)対応のリテールテックサービスとして展開を強化したと発表。札幌ドラッグストアー(富山浩樹社長、札幌市東区)との実証実験を経て、サツドラの104店舗において「パンゲアデリバリー」の本格導入が決定した。
クイックコマースの導入により、多くの事業者が売上拡大や、多様な販売チャネルを通じた消費者接点を獲得できるようになった一方、サービスごとに異なる端末やオペレーションに起因する、業務管理・運用の負荷増大が課題となっていた。特に、小売事業者では、様々なSKU、高頻度な商品入れ替え、広い店舗面積等がハードルとなり、クイックコマースの本格的な導入は遅れている状況だった。
このような課題の解決に向け、デジタルガレージは、複数のオンライン注文サービスを一元管理できるSaaS「パンゲアデリバリー」を飲食事業者に加え、小売事業者へ向けても展開すべく、機能開発や外部事業者とのシステム連携を拡充してきた。これまでのオンライン注文管理の一元化に加え、小売事業者特有の様々なSKUへの対応やデータ処理能力の向上等の機能を実装。また、外部企業とのオープンイノベーションを進めている。
サツドラ店舗での本格導入に際しては、ROMS(前野洋介社長、東京都品川区)が提供する「ピッキングシステム」と連携。これにより、複数のデリバリーサービスの注文やステータス管理に留まらず、店舗内のピッキング業務まで、一元管理・運用が可能となり、小売事業者が抱えるクイックコマースサービス導入課題の包括的な解決を実現する。
デジタルガレージでは今後、「パンゲアデリバリー」において、ピッキングルートのナビゲーションやPOSおよび在庫連携、AIによる需要予測等の提供により、飲食・小売事業者のクイックコマースの業務効率改善・売上拡大に寄与するサービスを拡充していくとしている。また、飲食・小売事業者が自社ブランドのもとで店外オンライン販売事業を可能にする、新規サービスの開発準備を進めており、決済サービスも併せて提供することも計画。
デジタルガレージ執行役員事業戦略設計推進担当の冨永大輔氏は「このたびのパンゲアデリバリーの進化は、労働力不足やインフレに伴うコスト増等の課題を抱える飲食・小売業界の成長性・生産性向上を支援することを企図している。今後、ドラッグストアを始め、コンビニエンスストア、スーパーマーケットなど、幅広い小売事業者を対象に、パンゲアデリバリーを提供し、日本のクイックコマース市場の拡大に貢献していく」とコメント。