産学官連携支援協議会(事務局:北海道中小企業家同友会)は2月13日、大久保記念共育ホールで「産学官金連携セミナーどうする?北海道 どうする?中小企業~人口と物流から北海道の可能性を考える」を題したテーマを開催。会場には約60人、オンラインと合わせて130人あまりが参加した。
道内コンビニ最大手のセイコーマートを運営するセコマ(札幌市中央区)の丸谷智保会長が「カギを握る物流体制構築と“地域残し”への挑戦」と題して講演。「人口減少に抗することは難しい。地域活性化を考えるより、地域残しの視点が重要。地域に商品を供給し続けるには、何よりも物流が大事だ」と述べ物流に関する考えや取り組みを説明した。

セイコーマートは道内1144店、179市町村のうち175市町村に展開しており、道内人口カバー率は99・8%。1日約300台のトラックを運行し、配送距離は約7万㌔㍍に及んでいる。
同会長は「物流センターは心臓。物流は血管(血流)であり、店舗は臓器。店舗の進出・維持運営には物流が要。物流がなければ店舗は空箱であり、物流によって商品が入り、初めて店舗が生きる」と強調、「このうち大動脈(幹線輸送)はいいが、毛細血管(地方での配送)や静脈が大変」と述べた。
北海道での店舗配送の難しさとして、十勝と日高地方での店舗配送の実際のルートを紹介。「店舗間が79㌔㍍離れているところもある。1店舗のためだけに、毎日、この距離を走っている。こういった難しさが北海道の特徴」とした。
物流を維持するため、店舗のバックヤードを広く取り、配送回数を1日3回と通常のコンビニより少なくしたり、特殊な容器を活用して冷凍商品をチルド物流で運んだり、商品の集荷と店舗への配送などを複雑に組み合わせた配送ルートと積載効率の最適化を進めていると説明。また、地方ではドラッグストアや飲食店、ホテル、病院などとの共同配送も行なっているとし、トラックの積載率は85%と高い水準を達成しているとした。
「ディスカウント(売価下げ)ではなく、物流の仕組み、サプライチェーン全体の仕組みを生かして、商品の原価を下げて価値を生み出す努力を絶え間なくしている」と取り組みを語った。