ダイバーシティ研究所は5月16日、かでる2・6で「事業者向け災害時対応セミナー〜災害多発時代に求められる事業所の役割と備え」を開催し、道内コンビニ最大手・セコマ(札幌市中央区)の佐々木威知広報部長と道内ホームセンター最大手・DCMホーマック(同厚別区)の三浦正行販売統括部マネージャーが昨年9月に発生した北海道胆振東部地震とブラックアウトの際の対応について説明した。
同セミナーは、北海道、札幌市、札幌商工会議所、消防庁、内閣府政策統括官(防災担当)、日本政策投資銀行、日本経済研究所が後援、DCMホールディングス、DCMホーマックが協賛した。
佐々木氏は「1100店舗中1050店舗が発災当日から営業した。災害時は『まず営業する』『温かい商品を提供する』ことが住民の不安解消につながるため、各店舗に常備していた非常用電源の活用や乗用車から電力を得るなどしてレジを動かし、LPガスの炊飯釜を使って暖かいおにぎりを提供した。ブラックアウトによって本部から指示が出せない状況だったが、各店舗は自主的に判断して営業を行った。これは、非常時でも店を開けることは当然のことという使命感からくるもの」と述べた。
また、早期に物流確保への対応をしたことも大きかったとし、「物流センターではひどい荷崩れが起きたが、人海戦術でこれを整理し、発災翌日には出荷可能な状態に戻した。4万8000㎘の軽油を備蓄している釧路の配送センターから軽油を抜き取り、全道の店舗配送に活用した。結果、今回の災害での物資供給は民間最大の20万個に及んだ。非常時に病院は人命に関わるため最重要と認識されているが、物流はそれに準ずるくらい重要。非常時に物流をどうやって維持するかを民間企業のみに任せず、広く真剣に意見を交わしていく必要を感じている」と強調した。
三浦氏も「道内80店舗を展開しており、発災当日から全店営業し、地域住民の生活をサポートした。発災直後に災害対策本部を立ち上げ、従業員の安否確認と食料・燃料の調達を行うとともに、物流センターの復旧を進めた。開店前に1000人が並ぶ店舗もあり、店舗で使うフォークリフトの燃料で発電機を稼働させて、ホームセンターの使命として商品提供を行った。震災後、店舗と物流センターでは緊急時に対応できるよう、平時から防災グッズなどの在庫を増やしている」と説明した。