9月6日の未明に発生した北海道胆振東部地震から約2週間が経過した。
この間、物流関連企業をはじめとした多くの企業・団体が物資提供や義援金、そのほか様々な形で、被災地や被災者などに向けて支援を行うことを発表している。主な動きをまとめた。
▼9月6日
ANAホールディングス(HD)とセブン&アイ・ホールディングスは、災害発生時に両社が協力して緊急物資の輸送を行うことを定めた「緊急時物資輸送支援に関する協定」(2016年12月締結)に基づき、北海道内店舗への物資・商品の緊急輸送を実施すると発表した。
ANAHDの持つ国内最大の航空ネットワークと、セブン&アイが全国に展開する物流インフラ機能を活かして両社が連携し、より迅速・確実な物資輸送の実現を通じて、被災地の復興支援体制強化に取り組んでいくとしており、セブン&アイが依頼する北海道内店舗への物資・商品供給の国内空輸を、ANAHDは優先的に受託するとともに無償または割引運賃で輸送に協力する。
支援期間は2018年9月6日からで、配送エリアは札幌市内のセブン‐イレブン店舗(店舗への到着は7日以降を予定)。主な緊急輸送物資・商品は、9月6日配送分(羽田空港から函館空港へ空輸)は、カップラーメン1200ケース。
▼9月7日
サッポロホールディングスは、被災地での救援活動に役立ててもらうため、支援物資としてポッカサッポロフード&ビバレッジ社の飲料水を合計4万3000本を届けたと発表した。今後も自治体からの支援要請に応じて飲料水などを提供していくとしている。
支援物資と届け先は下記の通り。
・札幌市:富士山麓のおいしい天然水」530ml PET1万80本、「玉露入りお茶」600ml PET1万80本
・胆振総合振興局(苫小牧市、安平町、厚真町、むかわ町):「富士山麓のおいしい天然水」530ml PET1万5080本、「玉露入りお茶」600ml PET5000本、 Ribbonナポリン」455ml PET480本、キレートレモンスパークリング」420ml PET480本、「Ribbon北海道りんごブレンド」280ml PET480本、「つぶたっぷり贅沢みかん」400gボトル480本、「ポッカコーヒーファイターズ2018年選手缶 微糖」185g缶480本
・石狩振興局:「富士山麓のおいしい天然水」530ml PET 360本
▼9月8日
セコマは、9 月 6 ・7 日の両日、北海道や各市町からの要請を受け、被災地支援のため、物資提供を行ったと発表。同社ではこの後も、同8・9の両日、同10〜12日にかけて、それぞれ物資提供を実施した。内容は下記の通り。
【6・7日】
提供先:北海道、8市町他3団体含め12カ所(札幌市、江別市、北見市、滝川市、苫小牧市、厚真町、白老町、安平町など)
内容 :パン1000個、水1万1400本、大福・どら焼7万1000個、カップ麺6450個、おにぎり2022個、レトルトご飯1万3500個、味噌1050kg、出汁147kg、塩21kg、わかめ50kg、容器1万1000個、箸1万1000膳、レトルトカレー3000個、汗拭きシート6500個
【8・9日】
提供先:江別市、北海道など5カ所
内容:おにぎり2700個、中華まんじゅう6500個、飲料(水・茶・スポーツドリンクなど)1万9000本、カップ麺3500個、衣料品2100枚、雑貨類2100個
【10~12日】
提供先:2団体
内容:おにぎり2800個、飲料(缶コーヒー、水・茶・ジュース、栄養ドリンクなど)9010本、菓子2952個
▼9月10日
川崎汽船は、地震被害に対し500万円の義援金を拠出することを決定したと発表した。
川崎近海汽船は、被災者の支援および被災地復興に役立ててもらうため、1000万円の義援金を拠出することを決定したと発表した。
日本航空(JAL)はイオンと連携し、2016年3月に締結した「緊急物資の輸送に関する覚書」に基づき、食品を中心とした必要物資の輸送を、地震が発生した9月6日より実施していると発表した。
地震発生直後は旭川空港へ臨時便2便を含む4便、函館空港へ1便の計5便で24トンを輸送。また、新千歳空港再開後から9日までに88トン、これまで合計31便で112トンの緊急物資を北海道へ輸送した。JALは、引き続きイオンと連携し、道内の物資不足の解消に向けて輸送協力を継続していくとした。
このほか、義援金として、「社会福祉法人中央共同募金会」へ500万円を寄付したほか、JALマイレージバンク会員へマイルの寄付を呼びかけ、寄せられたマイル寄付相当額を義援金として「社会福祉法人中央共同募金会」へ寄付するとした。受付期間は2018年9月10日~10月31日。500マイル(500円に相当)を1口とするマイル寄付で、JALホームページにおいて、1口(500マイル)単位の寄付を受け付ける。義援金は「社会福祉法人中央共同募金会」を通じて被害状況に応じ各地に按分され、自治体を通じ、被災者に直接お見舞金として届けられる
また、JALグループとして寄付金を募り、「社会福祉法人中央共同募金会」へ寄付するとした。
日本郵便は、地震の被災者に対する救援活動を支援するため、救援等を行う団体に宛てた災害義援金を内容とする現金書留郵便物の料金免除を実施すると発表した。
取扱窓口は郵便局(簡易郵便局を含む)で、取扱条件は災害義援金を内容とする現金書留郵便物の料金免除。内容品は現金で、現金書留とするもの(現金書留以外の特殊取扱とすることはできない)。
このほか、表面の見やすい所に「救助用郵便」と記載されたもの、個人から差し出されたもの、災害義援金の配分について条件を付していないものなどが条件。
▼9月11日
JR貨物は全国通運連盟と連携し、企業等が被災地に向けて寄贈する救援物資について、無償で輸送を行うと発表した。
同社の全国のコンテナ貨物取扱駅から、被災地の最寄のコンテナ貨物取扱駅まで12ft コンテナ1個単位(5 トン以内)で輸送する。荷送人の指定の場所から最寄のコンテナ貨物取扱駅までと、被災地の最寄のコンテナ貨物取扱駅から被災地の荷受人までは、鉄道利用運送事業者がトラックで輸送する。
「荷送人」は救援物資の輸送につき、各自治体災害対策本部等へ事前に連絡した上で、当該物資の受け入れを承認された企業などで、「荷受人」は救援物資の受け入れを表明している被災自治体。
飯野海運は、被災地域の方々の救援や被災地の復興のために役立てていただくため、300万円の災害義援金を寄付することを決定したと発表。あわせて、同社グループの役職員による募金も開始した。
国土交通省関東地方整備局は、被災地支援のため、川崎港東扇島地区基幹的防災拠点において、防衛省がPFI方式により契約している民間船舶「はくおう」に関東地方整備局の飲料水及び非常食料(460 箱)等を積込んだと発表した。
なお、「はくおう」は9月11日9:40 に川崎港を出港し、同12 日14:45に苫小牧港西港区に入港予定。
川崎港の基幹的広域防災拠点は、首都直下地震発生時において、支援物資の輸送等の拠点として機能するもので、この度、北海道の被災地支援としても利用。なお、川崎港基幹的広域防災拠点の耐震岸壁を利用した船舶による直接輸送は訓練以外では今回が初めて。
▼9月12日
商船三井は、被災者の救援および被災地の復興のために1000万円の義援金を拠出、あわせて、グループの役職員による募金活動を開始したと発表。
ANAカーゴは、日本赤十字社、JPFからの救援物資について、無償で輸送協力を行うと発表。また、AIRDO 運航便(対象路線あり)についても実施する。
いすゞ自動車は、北海道全体に対しては日本赤十字を通じ500万円を、事業を展開する苫小牧市へはいすゞエンジン製造北海道と連名で1000万円、むかわ町へはワーカム北海道と連名で1000万円、総額2500万円の義援金を拠出すると発表。
国交省は同13日、被災地へのボランティア活動支援のため、フェリー4社が割引運賃を実施すると発表した。
割引を行うフェリー事業者と航路は下記の通りで、いずれも公的機関が発行する証明書などの提示により割引が適用される。
・商船三井フェリー(大洗~苫小牧)
・太平洋フェリー(苫小牧~仙台・名古屋)
・新日本海フェリー(舞鶴~敦賀~新潟~秋田~小樽~苫小牧)
・川崎近海汽船(八戸~苫小牧、宮古~室蘭)。
アイリスオーヤマは、被災者の救済、及び被災地の復興に役立ててもらうため、安平町に義援金として500万円寄付することを決定し、同日に安平町役場にて贈呈式を行ったと発表した。
また、同11日には、各自治体からの要請に応じて、物資提供を行ったと発表。内容は下記の通り。
・安平町:水(308ケース)、米(122ケース)、パックごはん(158ケース)、ウェットティッシュ(25ケース)、ダンボール他
・厚真町:水(186ケース)
▼9月13日
NSユナイテッド海運は、グループで被災者の救援に役立ててもらうため、300 万円の義援金を拠出することを決定したと発表。
北海道開発局は、被災地支援のため、関東地方整備局から輸送された支援物資を、陸上自衛隊等の協力の下、同12日に安平町、厚真町、日 高町の3町の被災地へ輸送したと発表。
支援物資の概要は、下記の通り。
・安平町:ごはん40箱(1箱30食入)、おかず40箱(1箱50食入)
・厚真町:水2ℓ120箱(1箱6本入)、水500ml50箱(1箱24本入)
・日高町:水2ℓ50箱(1箱6本入)、水500ml20箱(1箱24本入)、ごはん70箱(1箱30食入)、おかず70箱(1箱50食入)
▼9月20日
日本郵船は、被災地へのグループによる支援活動を発表した。
苫小牧港を重要拠点に持つ近海郵船は日本赤十字社に500万円の義援金を寄付する。
また、グループ役員・社員有志から今後集める募金に同社が同額のマッチングギフト(個人が有志で福祉団体などに寄付を行う際、企業もそれと同等あるいは一定の割合を上乗せして寄付する制度)を上乗せして、義援金として日本赤十字社に寄付する。
▼9月21日
日野自動車は、緊急支援物資の提供に加え、このたび被災地の復旧・復興に役立ててもらうため、ジャパン・プラットフォームを通じて300万円を義援金として拠出することを決定したと発表。