6月に成立したトラック適正化二法(トラック新法)への対応を考えるため、北海道の運送事業者ら有志による「運送業界の生き残りのための勉強会」が発足し、初回の勉強会が10月29日、京王プラザホテル札幌で開かれた。
北ト協会長・全ト協副会長を務めたシズナイロゴス(札幌市白石区)の伊藤昭人相談役が発起人代表となり、旭川ト協副会長を務める西尾運送(士別市)の村上哲也社長、大型車の板金・塗装を手掛けるFスタイル(石狩市)富士道聡社長が発起人に名を連ねた。今後半年間、毎月1回のペースでの開催を予定し、まだ内容が詳細に固まっていない新法への対応を協議するとともに、意見や要望などを集約し、新年度をめどに発出する計画。新法に対する事業者主体の継続的な勉強会は道内で初めて。
同勉強会は、伊藤氏が新法の内容に疑問を持ったこと(関連記事)で企画。とりわけ「事業許可の更新制度」「適正原価を下回る運賃・料金の制限」「委託次数の制限」などにより、「対応できない事業者が出て、運送会社が減らされる。自社がそうならない保証はない。施行される前から生き残るための方策を学び、併せて、新法に対する問題点を指摘したい」(伊藤氏)としている。
伊藤氏は「80歳になるが、(業界に向けての)最後のご奉仕として勉強会をスタートする。新法は『良い法律』だと言われるが、考えれば考えるほど我々にとって大変なもの。まず、5年ごとの許可更新がなぜ必要なのか?これは平成2年の規制緩和で増えた事業者を減らすためではないか。ということは、我々もこの(減らされる)中に入るかもしれない。そうならないためにどうするかということを一生懸命学んでいきたい」と勉強会の趣旨を説明。
発起人の村上氏は「新法で事業者数を減らすなら、本来この間、規制緩和の影響を検証しなければならなかった。多重構造をやめようという話にもなっているが、『今ある荷物を明日運べ』という業界のなかで、問題はないだろうか。真っ当に経営をしているところが生き残るにはどうするか、皆さんとともに知恵を出していきたい」とし、富士道氏は「黒子としてトラック業界を持ち上げていきたい。この業界は『聞きたいけど聞けない』という風潮があり、これは自分も経験してきた。勉強会を通じて、困ったことを真剣に話せる『真の横のつながり』を築いていきたい」とそれぞれあいさつした。
12人がエントリーしてスタート、初回は参加者がそれぞれ新法についての受け止めや自社の課題などを説明した。同勉強会では、同様の問題意識を持つ事業者の参加は今後も受け付けるとしている。

【伊藤発起人代表 新法への問題意識を語る 「認可、自由化、標準的、適正原価」と運賃制度の変遷を説明 「いつも他力本願」】
「運送業界の生き残りのための勉強会」の発起人代表の伊藤氏は「新法では、2次委託以降の下請けがダメとか、適正原価とか、厄介な問題がある。特に適正原価というのは本来、我々事業者が作り、把握し、示すもの。それを国が作るという話だ。今まで認可運賃を作って失敗し、標準的な運賃もうまくいかなかったので、適正原価の運賃となったのではないか。運賃自由化の際は、認可運賃を守れないから、各社がそれぞれの原価にあった運賃を取ってくださいということで始まったはずだ。運賃について、自分で決められない我々の業界は、いつも他力本願だ。こういうことなら、いつまで経っても荷主にしっかりした話はできないし、消費者に対してもエッセンシャルワーカーだと胸を張って言えない」と問題意識を語る。
また、「適正原価に基づく運賃が決まれば『左うちわで生活できる』という声も聞くが、これは間違っている」と強調。「認可運賃、自由化された運賃、標準的な運賃がそれぞれ機能しなかったとして、それが適正原価運賃になった途端にうまくいくのか。新法では、その額を継続して支払う(収受する)ことができなければ、処罰されるとなっている。その対象になる可能性があるということを、どれだけの事業者が危機感を持って真剣に考えているのか。トラック協会もそういったアナウンスをし、会員が対応できるよう情報提供をすべきではないか」と話している。





