北海道開発局と土木研究所寒地土木研究所は2月18〜21日にかけて、札幌第1合同庁舎と北海道開発局研修センターで「第62回北海道開発技術研究発表会」を開催した。北海道開発協会が後援。
北海道の開発事業に係わる諸問題に関する調査・研究等の成果を発表し、技術力の向上やその普及を図ることを目的とするもの。道路、港湾、産業、防災などをテーマとした200件の発表と53件の技術展示が行われ、北海道大学公共政策大学院の石川達也教授が「豪雨と地震による北海道の近年の地盤災害から学ぶ将来への提言」と題して基調講演を行った。
物流関係では、「北海道の物流における道路の役割に関する一考察」「宮蘭フェリー活牛トラック貨物利用における現状把握」といった発表が行われた。
前者の発表では、北海道の高規格幹線道路網は、計画路線1825㎞の内、平成29 年度末時点で約1120㎞ が開通し、「中心都市である札幌市と6圏域中心都市間で未接続の箇所が残存し、開通率も約61%(全国約83%)」と立ち遅れている状況であることに加え、「暫定2車線区間が多く存在し、走行性や安全性、大雪への対応、自動運転社会への対応等の課題が残っており、4車線化等の対策が求められている」と現状を分析。
また、「国道5号、37号、38号等の物流上の要所に4mの高さ制限トンネル等の国際海上コンテナ車の通行支障区間」があるため、「国際海上コンテナ(40ft背高)を、特車許可なく効率的に輸送し、生産性向上、国際競争力強化に資する道路ネットワークを構築する上で、大きな課題」が残っていると指摘。
今後について、「高規格幹線道路の整備のみでなく、IC 連絡路等ラストマイルを含めた道路機能を強化し、拠点への連絡性を高めること、災害発生時の代替路確保や暫定2車線区間の4車線化等により防災機能を高めること、高齢化や人口減少が進捗する地方部においては、道の駅等の新たな輸送拠点を検討し、輸送効率性を高めていくこと等が、平常時・災害時を問わない安全で円滑な物流の実現に向け必要であり、これらの視点を踏まえた計画を策定する必要がある」としている。
このほか、昨年9月に発生した北海道胆振東部地震とその後のブラックアウトに関連し、「北海道胆振東部地震による北海道港湾の物流・人流動向への影響について」「北海道胆振東部地震における被災地支援ー港湾を拠点とした支援活動の報告」「北海道胆振東部地震直後における自動車の交通行動についてーETC2.0プローブデータを活用した分析」などの発表が行われた。