北海道 引越し分散に向けた取り組み

ドライバー不足・作業員不足も相まって、「引越難民」の言葉が定着しつつある中、3〜4月の引越ピーク時期を控え、道内の運送業界では「引越時期の分散化」の呼びかけを強めている。

北ト協は2月6日、「引越時期の分散」に協力を要請するリリースを出した。同ト協ではこれとは別に1月中旬から2月中旬にかけて、テレビや一般紙などの媒体で分散引越に関する広告を集中的に出稿、テレビでは民放5局で15秒CMが合計140本以上流れた。1月下旬には札幌駅前通地下歩行空間で一般消費者に分散引越を要請するチラシ3000枚を配布、直接の働きかけも行った。

北海道運輸局も同7日、一般消費者などに向けて「分散引越し」への協力を呼びかけるリリースを出した。同局ではトラック協会などと連携しながら働きかけを進めており、昨年度より北海道経済連合会、北海道商工会議所連合会、北海道中傷企業団体中央会、北海道商工会連合会などの道内経済団体や北海道庁をはじめとする官公庁を直接訪問し、分散引越しの協力要請をはじめている。各経済団体などを通じて、民間企業の異動時期の分散化を検討するよう要請しているほか、同局職員の異動に関し、人事異動時期の分散に向けて試行的に取り組みをはじめている。また、同局に引越のトラブル等に関する情報提供窓口を設置しているほか、HPのトップページに「分散引越に向けたお願い」とするバナーを配置、引越しに関連する資料を載せている。

同ト協、同局、消費者団体により1月下旬に開かれた引越運送利用者保護に関する連絡会議でも、分散引越に関する話題が多くを占め、参加した運送事業者からは「前年よりピーク時の案件が減ってきている」との声も上がるなど、少しずつ働きかけの効果も見え始めているようだ。また、「ピーク時に件数が多い教員や公務員の引越しでは、荷主である管轄の行政機関が連携し、道内で片荷輸送にならないようにマッチングをしてくれれば、かなり効率的に業務が行える」との意見も出るなど、さらなる対策も検討されている。

一方で、業界をあげたこのような動きに対し、札幌市内の荷主企業の経営者からは「繁忙期に運送業界がこぞって『利用を控えてください』とコストをかけて広告する感覚が理解しにくい。ピーク時に引越し費用が高騰、もしくは、引越が出来ずに困るのは消費者なので、消費者(荷主)側がこのようなアナウンスをするのならわかるが、サービスを提供する側が広告を出してアナウンスをするものではないのではないか」といった疑問の声もあがっている。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする