エース 経営方針説明会 画期的なセンター稼動目指す

エース(林博己会長CEO、石狩市)は4月1日、札幌サンプラザで「平成30年度エースグループ経営方針説明会」を開催した。会社の進む方向を統一させるため、パートを含めた従業員と協力会社などに向けて行っているもので、出席者は全員、恒例となっている経営陣とのハイタッチで会場に入場した。

3月21日付けで社長から会長へと就任した林会長は、「自分に『社長をやめろ』と言える人間がいないので、自ら退任することにした。農業法人を3月に立ち上げ、これに従事するのを楽しみにしている。将来的には保育・福祉施設などとの連携を進めるほか、多数いる引きこもりへのセラピーや社会復帰のための施設も設けたい。34年間必死に頑張ってきたので、旅行などにも時間を使うなど少し余裕を作りたい」とし、「今後は最高経営責任者としてエースが発展し続けるのを見守り、後方支援をしていきたい。また、学生や各種団体などでの講演活動を通じて、運送業界の社会的地位向上に努めたい」と挨拶を述べた。

 新任した中野政嗣社長は経営方針を説明。「全ての従業員が経営者感覚、当事者意識を持ち、仕事に励んでもらいたい。1133人が毎日このように行動すると、もっと会社はよくなる。最も重要なのは品質の向上。事故、トラブル、クレームを0にすれば、『お客様に最高の物流を提供する』ことにつながる。品質向上によって、エースの評価、売上げと利益、従業員の処遇・職場環境がともに高まり、さらなる品質向上につながる。この好循環のサイクルをつくっていきたい」と呼びかけた。
 
 また、9月竣工予定の大型物流センター「北海道DC(仮称)」について「荷待ち時間ゼロ、無人フォークリフトなど省力化を極めた最新鋭のセンターで、顧客層の領域を広げる可能性を持っている。エースが新しいステージに向かう基幹的な施設となる」と紹介した。

 同DCは、トラック入荷予約システムや自動化技術などを取り入れ、手待ち時間や作業人員を大幅に削減させる汎用型の施設。石狩市新港南2丁目に位置し、敷地面積4万4300㎡、延床面積1万400㎡。鉄骨造、地上1階建てで32のトラックバースを設ける。食品、非食品を問わず、メーカー、卸、小売の全てのカテゴリーに対応する予定。3月から工事を着工し、10月からの稼働を目指す。
 24時間365日入庫可能で、トラック予約受付システムを導入し「手待ち時間ゼロ」を実現するほか、センター内の搬送の大部分を無人搬送車・無人フォークリフトなどで行うため、「大幅な省人化」を図るとともに、出庫作業時の労働負担を大きく減らす環境を整える。無人搬送車は最大10台、無人フォークリフトは5〜10台程度の導入を検討している。また、自動検品により、検品作業の要員も削減。トラックは荷降ろし完了と同時にセンターを退去できるようする。
 同社では通常、この規模のセンターは20人程度で運用するが、同DCでは7人程度での運用を想定している。
 運送事業者は最短の滞在時間で納品業務が完了するほか、24時間稼働のため、宵積みした荷物を当日深夜に納品することができ、トラックの稼働を高めることができる。荷主は入荷トラックの滞留がなくなり、手待ち時間人件費の負担リスクを抑えられる。

林会長は「手待ち時間ゼロ、従来の3分の1程度の人員で運用できる画期的なセンター。34年間運送業をやっているが、手待ち時間に本当に苦労してきた。ドライバーやセンターの要員が不足する中、画期的なセンターを作りたいと思っていたが、その願いが叶う。なるべく人を使わないセンターにした」と話し、「当初は外部倉庫の集約化を目的としていたが、顧客からの引き合いが多かったため、どのような荷主企業でも活用できる常温の汎用型センターとして運用する。敷地に余裕があるので、このセンターが成功すれば、次の建設も考えていく」と話した。
 中野社長は「道内では、札幌一極集中がますます進み、少子高齢化も進展し、流通全般が大きく変わる可能性がある。最新の自動化技術を用いたセンターを構築することで、変化に対応できる最適な流通のための最適な物流を目指していく。効率的な運用をシェアし、将来的には共同物流を視野にいれたい」と話した。

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