幸楽輸送(不動直樹社長、札幌市清田区)は今年度、BtoCの宅配事業に本格的に進出した。3月末から、グループ会社の大日本印刷(DNP)とDNPグループのトゥ・ディファクトと連携し、トゥ・ディファクトが運営する総合書店「honto」の通販ストアで注文された一部書籍の利用者宅までの配送を道内全域でスタートした。
「honto」では現在、通販ストアで注文され道内に配送される書籍の一部は、リードタイム短縮のため、札幌市内の大型書店「MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店」より直接、消費者へ出荷している。注文を受けた書籍は、書店の店員が店頭などからピッキングし、梱包・ラベル貼りを実施。それを午後の早い時間に幸楽輸送の手配によって集荷し、同社の配送拠点で方面別に仕分けした後、既存の運行車両の空きスペースに積み込み、配送に向かう。午前中までの注文なら、24時間以内に全道に配送するスキームで、この事業開始に向けて、独自に貨物追跡システムを構築した。
同社は、高い輸配送の品質と積載率を武器として、道内各方面に確固とした物流網を築いているが、グループ会社の書籍の宅配にこれを活用した。道内では「地方部への小ロット貨物の輸配送」が非効率になりがちなため、大きな課題となっているが、既存インフラを使った混載輸送を行うことで、こういった課題を解消する。書籍の宅配は現在、「半分くらいが地方部」だという。
また、同社はこれまで、飲料や食品を中心とし、調達・拠点間の幹線輸送・店舗配送などBtoBの領域の物流を主力としてきたが、不動社長は「宅配事業も展開することで、物流サービスのメニューを広げ、物流全般で北海道を活性化するお手伝いをしていきたいと考えている。本格的なBtoCの物流サービスは今回が初めてとなるが、一般消費者との接点もでき、全社的にスキルアップが望め、良い経験を積んでいる」と話している。
宅配事業では昨今、再配達への対応も大きく注目されているが、不動社長は「毎日、コンスタントに書籍を配送しているが、今のところ大きな問題は発生しておらず、100%しっかりお届けできている。事前に配達時間を確認する電話を入れるなど、効率的な方策を色々と試みている」とし、「物流の川上から川下までの機能を持つことで、北海道を元気にする役に立っていきたい。そのためにも、宅配事業を今後、大きく伸ばしていきたい」と抱負を語っている。