北海道トラック輸送における取引環境・労働時間改善地方協議会(座長・千葉博正札幌大学名誉教授)の11回目の会合が3月19日、ホテルポールスター札幌で開かれ、富士通総研コンサルティング本部の沖原由幸氏が平成30年度に実施した「コンサルティング事業」の実施報告を行った。
北海道でのコンサルティング事業は、「日用雑貨品の卸売業の着荷主」と「特積み事業者」による「着荷主の在庫型物流センターへの納入業務」を対象に実施した。
この業務に関して、①「ドライバーがセンターでバラ積み貨物を手荷役で卸し、着荷主の格納専用パレット(1100パレット)に積み付けしている」、②「特積み事業者が通常業務と思い、センターで仕分け作業を行う商慣習がある」、③「ドライバーの荷卸し終了後、受領書発行まで待ち時間がある」ーといった課題を抽出。
①②にかかる「付帯作業混みの荷卸し作業時間」は3〜4時間、③にかかる「受領書発行待ち時間」は10分程度であり、これらを解決するため、①「着荷主と特積み事業者間での仕分け用パレットのラウンドユースの実施(出荷時から特積み事業者が1100パレットに積み付け/センターからは納入した枚数分の空きパレットを積み込んで持ち戻り/着荷主が格納エリア別に仕分けを実施)」、②「格納用パレットを2段重ねにし、着荷主の格納エリアにそのまま保管(発地に着荷主の格納専用パレットを用意し貨物を積み付けて輸送、センターで格納専用パレットに2段重ねで荷卸し)」、③「受領書の翌日渡しルールの適用(ドライバーは荷卸し完了後、着荷主の数量検品・受領書発行を待たず、即出発)」ーの3つの施策を考案し、2月に実証実験を行った。
この結果、ドライバーによる荷卸し時間は「3時間30分」から「1時間22分」へと約60%削減され、受領書発行の待ち時間は無くなった。一方、着荷主の検品担当者の作業時間が増え、パレット化したことによる扱い荷量が減少した。
実証実験の効果について、ドライバーからは全員「仕事が楽になった」「今回の改善策を継続してほしい」との感想があった。
着荷主からは「非常に実りがあり、荷主としてやらなければならない事が良くわかった。運送事業者とコミュニケーションをとれた事も良かった」「ドライバーの労働時間削減に向けた活動を社内全体に浸透させていく」との感想があり、特積み事業者からは「荷主と一緒に汗をかき、改善に向けた活動を実施できた事が良かった」「今回の取り組みで醸成できた改善に向けた熱意を陳腐化させず、引き続き活動を進める」との感想があった。