北日本の物流に携わる様々な業種で働く人たちに向けた定期的な研修・交流の場を提供している菊地稔氏。JR貨物、大手パレット会社などに勤務し、定年退職した現在は毎月開催される「宮城物流人クラブ」の代表幹事を務めている。このほか、鉄道OB会仙台支部の会報の編集を手がけるなど、忙しい毎日を送っている。
平成3年に自身が中心となり、「効率的な物流の実践・創造」を目的として任意団体「宮城物流人クラブ」を創設、月例会は今年5月23日で300回の節目を迎え、東北地方の「物流人」の交流の輪を広げている。
JR貨物に勤務していた際、荷役作業の負担軽減や商品の破損防止、物流の効率化、労災事故の減少など、多くのメリットがありながら、まだ一般的ではなかった「一貫パレチゼーションの推進」を検討するため、宮城物流人クラブを創設した。菊地氏はその後、農産物の一貫パレチゼーションの運用に尽力、この努力が結実し現在、この一貫パレット輸送のシステムは、大手物流企業によって全国的に普及している。
同クラブに着想を得て、「北海道物流人倶楽部」が同24年に北海道物流開発(札幌市西区)の斉藤博之会長の音頭によって設立された。北海道では例会が隔月で開催されており、今年3月で41回を迎えた。菊地氏はほぼ毎回、事務局として来道し、運営の手伝いをしている。参加者が少ない時は、自宅のある仙台から北海道の会員に向けて「電話で参加を呼びかける」ほどだ。
宮城・北海道の物流人クラブとも、基本的に物流に関する講演会とその後の懇親会がセット。懇親会ではアルコール等を飲みながらざっくばらんに情報交換をするだけではなく、ビジネス上のつながりもできることもあり、実際に会員同士が連携して事業がスタートするきっかけになったこともある。「講師によって参加人数が変わってくるので、会員に興味をもってもらえるよう、講師の選定に最も気を使っている」と話す。
これら物流人の集まりは毎回、荷主や物流子会社、トラック運送会社のほか、燃料やシステム、保険、士業など物流にかかわる様々な業種から必ず数十人が参加しており、多い時は百数十人にもなることがある。このように盛況している大きな要因として、「菊地氏の人柄・人徳のゆえ」と評価する声も多い。
菊地氏は2つの物流人クラブについて「『あそこに行けば素晴らしい出会いがある、元気になる』という集まりにしたいと常に意識している。会員みんなに盛り上げてもらい、それぞれが声を掛け合って、人を連れて来てくれるようになった。特に会員を募集しなくても、仲間が仲間を呼んできて、会員が主役になっている」と捉えており、自身も「会員に支えてもらっており、元気をもらっている。『出会い・学び・助け合い』の場として、今後も会員相互の共生を目指し、運営を続けていきたい」と笑顔で話している。