コープさっぽろ 妹背牛での買物環境維持に向け、地方個人商店に仕入・物流機能を提供

コープさっぽろ(大見英明理事長、札幌市西区)は、妹背牛町より要請を受け、4月 25 日より、同町唯一の食品スーパー「フレッシュマートしんたに」へ仕入・物流機能等の提供を開始し、地域の「買物環境維持」に向けて取り組む。
コープさっぽろが仕入・物流機能を代行することで商店経営の安定化を図り、周辺住民へ買物機会を提供する。
この取り組みについて同15日、本部で会見を開いた。

コープさっぽろの中島則裕専務、経営企画室の森川大氏、「フレッシュマートしんたに」を運営する丸イ新谷商店(雨竜郡)の新谷達雄社長、新谷行弘店長のほか、妹背牛町の田中一典町長、妹背牛商工会の赤藤敏仁会長が会見に出席し、今回の取り組みの意義について説明した。

妹背牛町は石狩平野北端にある人口3000人あまり、世帯数1400あまりの自治体で、町内には食品スーパーは「フレッシュマートしんたに」のみ。同店は周辺住民にとって食品をはじめとする生活必需品の購入場所だったが、近年、生鮮食品を中心とした仕入れ等に苦戦し、安定的な商品供給が課題となっていた。
コープさっぽろでは、「地方個人商店の撤退が買い物弱者の増加につながる恐れがある」として、社会貢献活動の一環として、同町での「買物環境維持」に向けた取り組みを行うことにした。妹背牛商工会からの協力を得て、スキームを構築した。

具体的には、「フレッシュマートしんたに」をコープさっぽろの「仮想新店」として店舗コードを付与して登録し、発注システムやPOSレジを導入する。
同店はシステム上、コープさっぽろの店舗と同様の位置付けとなり、発注データが統合、卸・メーカー・物流元請け等へ共有されることで、物流ルートに組み込まれる。
これにより、同店が発注した商品は、コープさっぽろの物流ルートに相乗りする形で、店舗へと納品される。
生鮮食品をはじめ、惣菜や弁当などを含む同店の仕入・物流機能をコープさっぽろが代替し、安定した商品供給を行い、周辺住民に買物環境を提供する。

中島専務は、「妹背牛町での組合員の比率は世帯数の8割を超えており、組合員に対しても貢献でき、嬉しく思っている。昨年度は『もっと地域でできることを考える』をスローガンに掲げ、地域政策室を設置、道内63の自治体を訪問し、首長や地域の方から色々な教えをいただいた。この中で、自治体の規模に関わらず、共通課題として『買物難民問題』があり、併せて、商品調達に苦慮しているという話も多かった。この対応として、今回の運びとなった。今年度は『もっと地域に貢献できる存在になろう』を掲げており、地域の発展に最大限努力していきたい」と語った。

新谷社長は、「仕入体制の窮状に理解いただき、実現に向けて大英断をしていただき、感謝している。かつて同業者は町内に6社あったが、人口減少等に伴って廃業・撤退し、平成25年秋以降は町内唯一のスーパーとなった。同28年末に近隣の深川市の公設市場が大幅に機能縮小したことで、生鮮食品の仕入が難しくなり、安定的な商品集積が喫緊の課題だった。このような中、コープさっぽろ、妹背牛町、妹背牛商工会、金融機関等に理解・協力いただき、豊富な商品構成力と商品供給力を提供していただくことになった。未来に続く今日を迎えることができ、今後は地域に必要とされる店づくりをより積極的に展開していきたい」と述べた。

田中町長は、「寡占化された流通網や大型量販店の攻勢により、地域の小売店が駆逐され、その隙間をコンビニが埋めていく流れの中、『新鮮な食材を自分の目で選びたい』というニーズも根強くあり、小さな町の食品スーパーの維持は、町づくり、商工業の発展にとって積年の課題だった。コープさっぽろには救いの手を差し伸べていただき、感謝している。今回の提携を軸に、広域的な地域共存を形を実現していきたい」と述べた。

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