栗田工業(江尻裕彦社長、東京都中野区)は7月9日、富良野市(北猛俊市長)の家庭から回収する使用済紙おむつの分別処理と再資源化に係る実証試験を、クリタの使用済紙おむつ分別処理装置「クリタサムズシステム」を用いて実施すると発表した。
富良野市では、徹底したごみ分別と適正かつ効率的な中間処理、資源化、最終処分の実施による、資源循環と環境負荷低減を推進している。その一環として、2017年度から、焼却処分量の削減や再資源化の実現に向け、事業系衛生用品ごみとして回収する廃棄物である使用済紙おむつの一部について資源化処理と固形燃料化処理を行っている。今後高齢化社会がさらに進むことを踏まえ、使用済紙おむつのさらなる焼却処分量の削減と再資源化を検討するため、現在焼却処分されている家庭系衛生用品ごみとして一般家庭から回収する使用済紙おむつなどを対象に実証試験を行う。
「クリタサムズシステム」は、クリタが2023年11月から事業展開している、使用済紙おむつを殺菌・洗浄・分解し、ビニール袋などのプラスチック類とパルプ類を含む処理水への分別処理を可能にするもの。使用済紙おむつの焼却処分量や焼却にともなうエネルギー使用量などの削減、CO2排出量の削減への寄与に加え、分別処理後のプラスチック類やパルプ類を再生プラスチックや再生パルプとして再資源化することを支援する。
同実証試験は、7月上旬から10月末までの間、富良野市の家庭系衛生用品ごみの回収などについて、一般廃棄物収集運搬・処理業等の許可業者である北清ふらの株式会社(上田篤行社長、富良野市)の協力のもと、「クリタサムズシステム」を用いた分別処理を実施する予定。
クリタグループは、廃棄物処理業者や地方自治体を中心に、事業系に加え家庭系にまで対象を広げた、「クリタサムズシステム」による使用済み紙おむつの再資源化を提案・提供することを通じ、限りある資源の有効活用と、廃棄物焼却量の削減、リサイクル率の向上、CO2排出量の削減を推進することで、循環型経済社会構築や脱炭素社会実現へのさらなる貢献を目指していくとしている。