「子ども食堂から食の物流ネットワークを動かす」セミナー 帰り荷活用した物流ネットワーク構築へ「有料で運べる仕組みを」

北海道国際交流センターと全国食支援活動協力会は8月19日、かでる2・7で「子ども食堂から食の物流ネットワークを動かす」と題したセミナーを開いた。物流や卸などの道内企業をはじめ、行政機関や食支援団体などから約40人が参加した。

多く存在する子ども食堂や食支援団体等に向けて、安価かつ効果的に食品等の物資を届ける物流ネットワークが道内では未整備なため、こういった課題を共有し、ネットワーク整備に向けた機運を高めることを目的としたもの。

行政書士佐々木ひとみ事務所の佐々木ひとみ代表が「食の物流をどう作るか〜北海道の物流の現状と可能性について」と題して講演し、「北海道は地方都市間の距離が遠く、運行しても帰り荷がないケースも少なくない。人体における血流と同じく、道内中に物流のトラックは隈なく走っているので、帰り荷がない車両をうまく活用すれば、子ども食堂に向けた物流ネットワークを構築する可能性がある」と説明。これを「ボランティア配送協力隊」と呼称して、既に弘和通商(長谷川朋弘社長、札幌市東区)に正式に委嘱したと報告し、今後は同協力隊のメンバーを増やしていく考えを示した。

また、「善意でボランティアとして運ぶのはいい取り組みではあるが、トラックを運行させると現実的にコストがかかる。帰り荷がないからといって無料や非常に安価に運ぶことをよしとするだけではなく、有料で運べるような仕組みを考えてほしい。例えば、食品を寄贈する企業から、廃棄コストに見合うような金額を収受できるのであれば、物流企業に大きな負担をかけず持続的に運ぶことが可能になり、ドライバーの待遇改善にもつながる」と話した。

このほか、東京都大田区でこども食堂「気まぐれ八百屋だんだん」を主宰している近藤博子氏は、休眠預金を活用して物流システムを構築した実績を紹介し、「ひとつしっかりした流れができると、物資が上手くいきわたるようになる。出来ることをそれぞれが持ち寄ることが重要。将来を担う子どもたちの笑顔のために、物流業界の関係者には、大きな力を発揮していただければ」と訴えたほか、全国食支援活動協力会の平野覚治専務が「ミールズ・オン・ホイールズ ロジシテム」について説明し、運用に協力している本州の物流企業を紹介した。

北海道国際交流センターの池田誠事務局長は「北海道の中で、食をいかに有効に届けるかを考える場にしたい。今後、こういった活動に協力していただけるキーマンや取り組みを紹介するため『食支援100Actions@北海道』と名付けた専用のWEBと冊子を作成し、情報共有と広報活動を積極的に行っていく」とした。

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