厚労省は10月15日、北海道トラック総合研修センターで「荷主と運送事業者のためのトラック運転者の労働時間短縮に向けたセミナー(北海道ブロック)」を開催、道内の荷主企業、トラック運送事業者企業が参加した。
北海道労働局労働基準部監督課の戸高正博課長は「道内の自動車運転者の有効求人倍率は2.24倍となり、人手不足が深刻な状況となっている。この解消には、ドライバー志望者を増やすか、現在活躍している人材が今後も働き続けられる職場環境の整備が不可欠。ドライバーの長時間労働の解決には、トラック運送事業者の自助努力だけでは解決できないことも多く、荷主の皆様は、着手できる改善事例があれば持ち帰って取り組んでいただきたい。運送事業者も2024年度から適用される時間外労働の上限規制に対応するべく、改善事例を参考にしてほしい」と述べた。
荷主を代表してホクレン農業協働組合連合会管理本部物流部の戸田弘二部長は「北海道で取れる農畜産物の輸送は、『産地と消費地』『産地と港湾』の距離が離れており、難しい面が多い。平成28年度から、移出する一部青果物の一貫パレチゼーションを進めており、現在、馬鈴薯・玉ねぎなど年間17万㌧に及んでいる。パレット輸送の一層の普及には、選果場や市場などの設備の問題や、パレット回収の問題などがある。また、CA貯蔵による出荷の平準化、輸送機材の大型化、本州からの帰り荷確保、ホワイト物流申請準備なども進めており、さらなる取引環境の改善に取り組んでいきたい」と話した。
北ト協の工藤修二会長は「トラック運送業は、国民生活や産業活動を支える物流サービスの中核を担っているが、他産業並みの労働環境にしなければ、物流が滞ってしまう。トラックドライバーが希望を持って働けるよう、魅力ある業界に変えていかねばならない。荷主企業の皆様にも、一層の理解・協力をお願いしたい」と挨拶を述べた。
富士通総研コンサルタントの沖原由幸氏が「荷主と運送事業者の協力による取引環境と長時間労働の改善に向けたガイドライン」「荷主と運送事業者のためのトラック運転者の労働時間削減に向けた改善ハンドブック」の内容について解説。「トラックドライバーの労働環境改善に向けて、荷姿の変更、時間の見直しなど荷主企業にしかできない取り組みがある。トラックドライバーの労働時間短縮は、運送事業者だけの問題ではなく、発荷主・着荷主にとっても多くのメリットがある」とし、予約受付システム、パレットの活用、荷主からの入出荷情報等の事前提供、運転と作業の分離など効果的な取り組みを説明した。
このほか、北海道運輸局自動車交通部貨物課の増田禎士課長補佐が「ホワイト物流」推進運動について、札幌中央労基署の大越護労働基準監督官が「改正労働基準法のポイント」についてそれぞれ説明を行った。