北海道開発局と土木研究所寒地土木研究所は2月18〜20日にかけて、北海道開発局研修センターで「第63回北海道開発技術研究発表会」を開催、北海道の開発事業に係わる諸問題に関する調査・研究等の多くの成果が発表された。道路、港湾、産業、防災などをテーマとした188件の発表と60件の技術展示が行われた。
物流関係では主なものとして、北海道開発局港湾空港部港湾計画課の那須達哉氏による「北海道産品の輸出促進に向けた検討ー海上小口混載コンテナによる輸出と海外でのテスト販売」、室蘭開発建設部室蘭港湾事務所の奈良遼太氏による「室蘭港におけるフェリーの利用貨物の現状について」と題した発表が行われた。
那須氏は、北海道開発局が数年間にわたり手掛けた冷蔵・冷凍貨物の海上コンテナによる小口混載輸出の実証実験結果を発表。「北海道発の冷蔵・冷凍貨物によるLCLサービスはほとんど稼働していない。物流事業者がサービス継続を検討できる程の採算を確保することが難しい」、「輸出に関心はあるが物流コストが高くて採算が合わない、継続取引にならないと断念してしまっている事業者も多い」と現状を報告した。
奈良氏は、室蘭港近傍における農水産物の輸送実態について、生産者や流通・輸送関係者等へヒアリング調査を行い、室蘭港におけるフェリー利用率向上に向けた方策を検討。「室蘭港のフェリー利用率の向上を図るためには、復興 道路(三陸沿岸道路、宮古盛岡横断道路等)の整備が不可欠」としたほか、「JRコンテナを室蘭港のフェリーを活用して輸送する『Sea&Rail輸送』」を提案。「『Sea&Rail輸送』は、鉄道貨物量を極力減少させず、現状に近い手段でJRコンテナ輸送を可能にするもので、即効性が高い新たな輸送手段。貨物量の増加も期待できる」とした。